ドライバーの生体情報を活用した自動運転ソリューションとは

2015年5月19日 17:10

 自動車運行監視・管理サービスの需要は日本だけでなく、道路網が整備され、車両のCO2排出の規制が厳しいEU諸国などにおいても高まってきている。現在、一般に検討されている運行管理ソリューションは車両に特化していることが多く、より質の高いソリューションを提供していくには、ドライバーの健康状態や運転時の生体情報、ドライブレコーダーや天候、交通状況など多様な観点からのデータを活用することが求められている。

 これを受け、東芝<6502>と日本アイ・ビー・エムは、ドライブレコーダーやGPSなどの従来情報にドライバーの生体情報を加え、安心・安全・省エネルギーを実現する自動車運行管理ソリューション分野で協力するすると発表した。東芝は、15年中に欧州などでの実証実験を開始する予定で、将来的には運送会社・タクシー会社・保険会社など幅広い企業へのサービス提供を目指す。

 東芝が企画・提案した欧州などを対象とした「自動車運行監視・管理等による省エネシステムに関する調査」が、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の2015年度「国際エネルギー消費効率化等技術・システム実証事業」の実証要件適合性等調査として受託された。この調査は、実証前の予備調査の位置付けである。

 リストバンド型活動量計で収集したドライバーの睡眠状況や生体情報とドライブレコーダーで計測した道路交通情報を、タイムリーにクラウド上のプラットフォームを利用してビッグデータ解析を行い、最適運転経路への誘導や、事故率の高い経路を回避する。これにより、低燃費で安全なフリートマネジメントソリューションの検討を進めていく。

 具体的な想定事例としては、ストレスが過度にかかる道路の通行を避ける運行ルートの作成や、生体センサの情報を元にしたドライバーへの休憩の指示・睡眠データによるシフトの組み替えなど、従来にない生体データを加味したソリューションの展開を目指すという

 一方、日本IBMは、全世界で展開している「Smarter Planet」に関するプロジェクトで蓄積された技術や知見を活用し上記調査に協力するとともに、15年中に開始することを目指している実証実験で必要となるIBMのクラウド、ビッグデータ解析技術・プラットフォームを提供していく計画だ。

 普段あまり気にしていない人が多いと思うが、自動車の運転は実は体調が大きく左右する。睡眠不足や過労などからたいへんな事故につながることも多い。この実証は、今後訪れるであろう「自動運転」への布石としても大きな意味を持ちそうだ。(編集担当:慶尾六郎)

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