Spotifyの無料版がなくなったら、海賊版ダウンロードが増加する?
2015年5月16日 17:15
ミュージシャンに対する支払額が少ないと批判されることもあるSpotifyだが、海賊行為の抑制という面では一定の成果を上げているそうだ。特に効果が大きいとみられているのは広告付き無料版の存在だが、最近では無料版への配信をやめる動きがあり、再び海賊版ダウンロードが増加する可能性もあるという(TorrentFreakの記事)。
Spotifyでは、広告付き無料サービスのユーザーもライブラリ全体へのアクセスが可能となる。Spotifyのライブラリの内容は海賊版として流通している音楽よりも豊富であり、Spotifyがサービスを開始したいくつかの国では海賊版の音楽ダウンロードが減少しているという。海賊版の音楽ダウンロードを利用する人の中にはエンターテインメント関連により多くの金を費やす人が多く、サービスが気に入れば迷わず有料版にアップグレードする傾向もあるとのこと。
しかし、最近では著名ミュージシャンや音楽レーベル各社からはSpotifyの広告付き無料サービスからコンテンツ提供を引き上げる動きがあり、一部のコンテンツをSpotify以外のサービスで限定配信しようとする動きもあるという。また、Appleも無料サービスに関するライセンス契約を継続しないよう大手レーベルに圧力をかけているとも報じられている。Appleは新たな音楽ストリーミングサービス(9to5Macによれば、名称は「Apple Music」になりそうだという)でライブラリの一部だけを無料にすることを計画しており、Spotifyなどにも追従してほしいと考えているとの見方もある。
Spotifyは無料版の今後について何も発表していないが、実際に無料サービスがなくなるか、無料でアクセス可能な範囲が限定されてしまえば、ユーザーが再び海賊版ダウンロードに流れてしまう可能性もある。また、限定配信が増え、聴きたい音楽をすべて揃えるのに複数のサービスへの登録が必要になれば、さらにその傾向が強まるだろう。短期的にはミュージシャンやレーベルの収入が増えるとしても、長期的に見れば海賊版が増加するという結果が予測されるとのこと。
(続く...)なお、複数の情報提供者の発言として、Spotifyが無料版サービスの提供を3か月に限定するとDigital Music Newsが報じている。しかし、Spotifyの担当者はThe Next Webに対し、報道の内容は完全に誤っており、広告付き無料版のモデルは機能していると述べたとのことだ。 スラドのコメントを読む | YROセクション | ビジネス | YRO | 海賊行為 | お金 | 音楽
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