エボラ出血熱から回復した米国人医師、退院後に眼球からエボラウイルス検出
2015年5月13日 10:36
eggy 曰く、 シエラレオネでエボラウイルスに感染し、エモリー大学病院医療センターで治療を受けたイアン・クロジャー医師は昨年10月に同センターを退院した。しかし退院から2か月後、左目に視力の低下、痛み、高眼圧症といった症状が表れたため検査を行ったところ、左目にエボラウイルスが感染していることが分かったとのこと(New York Times)。
エボラウイルスが眼球に感染する可能性については考えられていたが、退院時の血液検査ではエボラウイルスが検出されていなかったため、この結果に医師らは驚いたという。幸い涙や眼球の表面にはウイルスが無かったため、クロージャー氏と接触した人が感染するリスクはなかったそうだ。
氏は眼球の不調だけでなく、関節の衰弱や筋肉痛、ひどい疲労感、聴力の低下といった症状も出ていたとのこと。これらの症状は西アフリカでも報告されており、エボラ出血熱生存者のおよそ40%に、眼球の炎症や痛み、視界がぼやける、視野の一部が見えないといった症状が起きているそうだ。
氏に対してはさまざまな治療が行われ、その結果数ヶ月かけて徐々に視力は回復し、変色していた瞳の色も元の青色に戻ったとのこと。視力回復の具体的なメカニズムは分かっていないが、抗ウイルス剤により症状が軽減され、また免疫システムの働きを助けたのではないかとのこと。
自身の体験がエボラ生存者らの視力喪失を防ぐための助けになると考えるクロージャー氏は、エボラ出血熱から回復した人達の目を検査するため、4月に複数の医師らとリベリアを訪れている。
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