理研、超並列分子動力学計算ソフトウェアを開発―スパコン「京」で巨大生体分子システムをシミュレーション

2015年5月12日 17:49

 理化学研究所の杉田有治チームリーダーらの共同研究チームは、生体分子の運動を1分子レベルから細胞レベルまでの幅広い空間スケールで解析可能なシミュレーションソフトウェア「GENESIS」を開発した。

 近年、計算機によるシミュレーションは、実験、理論に次ぐ第3の解析手法として、さまざまな分野で活用されている。

 今回の研究では、タンパク質や核酸、生体膜、糖鎖などの生体分子だけでなく、その集合体の分子動力学シミュレーションを行うことのできるソフトウェア「GENESIS(GENeralized Ensemble SImulation System)」を開発した。

 GENESISの開発目的は非常に多くの粒子を含む分子集団系の分子動力学計算を、「京」などの汎用スーパーコンピュータを用いて効率的に行うことで、MPIとOpenMPという2つの異なるプロトコルを組み合わせたハイブリッド並列が考慮されている。

 また、新規アルゴリズムとして、「Inverse Lookup Table法」「Midpoint cell法」「Volumetric decomposition FFT 法」などを導入し、バクテリアの細胞質分子混雑環境を模倣した約1,170万個の原子を含む分子集団系に対して1日あたり17.5ナノ秒(ns)、約1億370万個の原子を含む分子集団系に対しては1日あたり6.5nsという性能を「京」を用いて達成した。

 なお、GENESISは「京」だけでなく、ワークステーションやクラスター計算機においても実行できるようになっており、GPLv2ライセンスに基づくオープンソースソフトウェアとして5月8日から粒子系生物物理研究チームのホームページで公開されている。

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