京大、肥満のカギとなる遺伝子を発見―抗肥満薬への応用に期待
2015年5月12日 17:28
京都大学の伊藤信行名誉教授らの研究グループは、分泌性因子neudesinの遺伝子欠損マウスが肥満しにくいことを明らかにした。
近年、肥満の増加が全世界的に問題になっており、肥満に関わる因子を発見することは、抗肥満薬開発の可能性を高める上で有意義であると考えられる。
今回の研究では、ヒトcDNAデータベースからシグナル配列を目印にして新規分泌性因子を見つけ、neudesin遺伝子を欠損させたマウス(neudesin KO マウス)を作製し、解析を行った。その結果、neudesin KO マウスは肥満を誘導する餌を与えても太りにくいことや、体温が上昇し、消費する酸素量も増加していることが分かった。
このことから、neudesin KOマウスはエネルギーの消費が通常のマウスよりも大きくなるため太りにくいと考えられる。また、neudesin KOマウスは心拍数や、脂肪組織のノルエピネフリン含量といった交感神経の活性化の指標となる値が上昇していたことから、交感神経が活性化することでエネルギー消費が大きくなっていた可能性が示唆された。
研究メンバーは「今回の発見をスタートとして、将来的にneudesinを抗肥満薬の標的として利用できるような研究を展開したいと考えています」とコメントしている。
なお、この内容は「Scientific Reports」電子版に掲載された。論文タイトルは、「Deletion of the Neurotrophic Factor neudesin Prevents Diet-induced Obesity by Increased Sympathetic Activity」。