身体の病気を持つ人は精神的苦痛も高い―東北大
2015年5月9日 19:29
東北大学の中谷直樹准教授らは、七カ浜健康増進プロジェクトを通して、身体に疾患を持って治療をしている人は心理的苦痛も高くなっていることを明らかにした。
今回の研究では、東日本大震災で甚大な被害を受けた沿岸地域において3,032人を対象に、循環器疾患、がん、高脂血症、肝臓病、腎臓病、糖尿病などの疾患の治療の有無と心理的苦痛の関連を検討した。その結果、心筋梗塞・狭心症治療者及び肝臓病治療者は、治療していない者に比べて、高い心理的苦痛を有する者が多いことが明らかになった。また、がん、高脂血症、腎臓病、糖尿病の治療をしている者は、治療していない者とくらべて、高い心理的苦痛を有する者が多い傾向が示された。
本研究によって、被災地においては、身体疾患の治療を受けている者に対して、厚く心理的サポートをする必要性が示された。
なお、この内容は「Disaster Medicine and Public Health Preparedness」に掲載された。論文タイトルは、「The association between medical treatment of physical diseases and psychological distress after the Great East Japan Earthquake: The Shichigahama Health Promotion Project.」(東日本震災後の身体疾患の治療と心理的苦痛の関連:七ヶ浜健康増進プロジェクト)。