がん細胞への近赤外光線免疫療法による治験がFDAに承認される

2015年5月9日 06:00

h-harry 曰く、 体の外から光線を当ててがん細胞を死滅させる新しいがん治療法「光免疫療法」を、米国立衛生研究所(NIH)の日本人研究者らが開発したと報じられている(読売新聞日本アイソトープ協会の「展望」PDF)。近く米国の3大学で安全性を確認するための臨床試験を始めるという。

 がん細胞に結合するたんぱく質(抗体)に、近赤外線で化学反応を起こす化学物質(IR700)を追加。この抗体を注射で体内に入れ、がん細胞に抗体が結合した後で体外から近赤外線を当てると、光を吸収したIR700が、周囲の温度を急速に上昇させることによって水の膨張が起こり、その圧力波によって細胞膜が障害されると考えられているようだ。

 近赤外光線免疫療法は、短時間の近赤外光照射で広範に散らばったがん細胞を消滅することができるので、例えば手術で取りきることが難しかった膵臓癌や悪性中皮腫、卵巣癌の腹膜転移などのがんに対して縮小手術を行って、手術終了前に、近赤外光線免疫療法で取り残し部分のがん細胞を完全に消滅させて治療を終わることも可能であろう。

 また、血液中を流れているがん細胞や白血病細胞などは、抗体の注射とリストバンド型や毛布型の照射装置などでの就寝時の長時間照射などを行って、手術前後の血中がん細胞の除去による転移抑制や血液がんの治療に応用することも可能である。

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