日銀、4月のマネタリーベースで初の300兆円超え

2015年5月8日 10:49

 「マネタリーベース」とは、市中に出回っている紙幣・硬貨と、民間の金融機関が日本銀行に預けている当座預金の残高を合わせたものであり、日本銀行が市場に供給している通貨の量を示すものだが、このマネタリーベースが過去最高を更新し、300兆円を突破したことがわかった。日本銀行は現在、大規模な金融緩和により国債などの大量買入れを行っており、日本銀行の当座預金を中心に資金供給量の増加が続いている。

 日本銀行は7日、4月のマネタリーベース(資金供給量、月末残高)を発表。それによれば4月末の残高は前月末比3.4%アップの305兆8771億円であり、9ヶ月連続で過去最高を更新し、3月末の時点から約10兆円増えて月末残高としては初めて300兆円を超えることとなった。また4月中のマネタリーベースの平均残高は前年比35.2%アップの300兆3275億円であり、平均残高としても過去最高を更新することとなった。

 4月中のマネタリーベースの内訳を見てみると、日本銀行当座預金は前月比56.8%アップの206兆1602億円であり、こちらも過去最高更新。紙幣の発行残高は前月比4.1%アップの89兆5381億円、貨幣は前月比0.8%アップの4兆6292億円であった。

 4月は法人税や消費税の国庫納付があったが、日本銀行による国債や国庫短期証券(TB)の買い入れオペにより、マネタリーベースは9ヶ月連続で増加することとなった。ただし増加率については前月の6.1%増よりも低下している。

 日本銀行は2014年10月にマネタリーベースを増加させるために、長期国債などを買い入れる追加緩和を実施しており、マネタリーベースの年間増加額を60~70兆円から約80兆円にまで拡大する方針を示しており、現状はその目標にほぼ沿ったペースで推移している。

 こうした日本銀行による大規模な金融緩和が実施されてから2年が経ち、日本銀行の当座預金を中心に資金供給量の増加が続いているが、これからはそうして増加した資金を民間の金融機関の融資などを通じてどう市場に行き渡らせるかが課題となるとみられている。(編集担当:滝川幸平)

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