14年の全国女性社長率は「西高東低」
2015年5月4日 16:24
「女性の活躍推進」が政府の成長戦略の柱の一つに掲げられるなかで、女性社長は増加を続けている。東京商工リサーチの調査では、都道府県別の女性社長率では、西日本が東日本より比率が高い「西高東低」の傾向がみられた。また、産業別では飲食業、介護事業などのサービス業他が全体の4割を占めた。
都道府県別で女性社長数が最も多かったのは、東京都の7万9,880人(前年7万2,109人)で5年連続トップ。次に大阪府2万7,678人(同2万5,315人)、神奈川県2万598人(同1万9,283人)、愛知県1万4,898人(同1万4,013人)、埼玉県1万2,891人(同1万1,490人)の順。一方、女性社長数が少なかったのは、鳥取県1,218人、島根県1,289人、福井県1,513人の順だった。
次に、女性社長数と企業数を対比した「女性社長率」は、全国平均が11.5%で前年(11.1%)よりも0.4ポイント上昇し、都道府県別で全国平均を上回ったのは12都府県だった。「女性社長率」が最も高かったのは東京都の14.0%(前年13.5%)。以下、神奈川県12.86%、福岡県12.80%、兵庫県12.6%、大阪府12.5%と大都市圏が続く。
女性社長比率が高い上位20位をみると、西日本の15府県(九州・沖縄6県、近畿4府県、四国3県、中国2県)がランクインし、「西高東低」の傾向がみられた。これに対して比率が低かったのは、岐阜県7.6%、新潟県7.7%、山形県8.003%、石川県8.007%、福井県8.05%の順だった。総じて1世帯当たりの構成人員が多いところが目立ち、同居家族の多い地域ほど「家事・育児・介護」などとの両立が女性の起業、就業の課題になっていることがうかがえる。
また、産業別では、宿泊業、飲食業、介護事業、教育関連などを含むサービス業他の12万5,388社(構成比40.4%)が最も多かった。産業別の「女性社長率」で最も高かったのは不動産業の21.0%で、5人に1人の割合を占めた。女性の起業は、個人向けサービス等の暮らしを充実させる分野での事業展開が多いという。女性の視点による商品開発やサービス提供が、新たな需要を掘り起していることも女性社長の増加に影響している。
そして、女性社長の名前では、1位が「和子」の4,080人で5年連続トップ。2位が「洋子」3,380人、3位は「幸子」3,366人でトップ3は前年と変わらず。以下、「裕子」2,601人、「京子」2,318人、「恵子」2,251人、「久美子」2,210人の順。トップの「和子」は、昭和の始まりから昭和27年(1952年)頃まで、女性の生まれ年別の名前ランキングで常にトップを占めたことも影響した。
また話題になった「久美子」社長も7位にランクインし、3文字名前では最多だった。上位20位では、「子」がつく名前が大半のなかで、唯一19位に「明美」(1,372人)がランクインし、世代交代の兆しもうかがえる。
全国の女性社長数は、2010年の21万人から2014年には31万人に増加した。政府の成長戦略の柱の一つに「女性の活躍推進」が位置づけられるなど追い風が吹いていることから、今後も増勢が続くとみられると、同社では分析している。(編集担当:慶尾六郎)