NYの視点:米国成長への懸念、利上げ見通しに陰り
2015年5月1日 07:15
*07:19JST NYの視点:米国成長への懸念、利上げ見通しに陰り
米連邦準備制度理事会(FRB)は4月の連邦公開市場委員会(FOMC)の声明で景気判断を下方修正した。しかし、冬場の景気減速やインフレの低迷が「一時的」との見方を変えていない。FOMCは2009年以降、使用してきた金利に関するカレンダーガイダンスを廃止。同時に、潜在的な利上げの可能性を想定し、記者団との電話会見を予行演習したことも明らかにしており、イエレンFRB議長の会見が予定されていないFOMCでの利上げ、あるいはFOMC以外でもいつ利上げをしても良い環境を整えている。「テストは将来のFOMCの行動のシグナルではない」と念を押したが、次回6月の会合での利上げを選択肢として残したことは確か。
今後は、経済指標次第で会合ごとに利上げの可能性が協議されることになる。1−3月期の低調な経済が果たしてFOMCの見通し通り「一時的」でおさまり期待通りに4−6月期の経済で成長ペースが大幅に加速するかどうかを今後見極めていく。米国の4月シカゴ購買部協会景気指数(PMI)は52.3と、市場予想の50.0を上回り3月の46.3から上昇、1月来で最高。2ヶ月連続で改善した。ゴールドマンサックスのエコノミストは4−6月期の国内総生産(GDP)で3%成長見通しを明らかにした。
一方、1−3月期の国内総生産(GDP)で見事に予想を的中させたアトランタ連銀のモデルは4−6月期のGDP見通しが30日時点でわずか0.9%成長を示していることがわかった。見通しは非公式なもので、今後出てくる指標によっては変動することになるが、このままのペースでいくと今年上半の経済の成長率がわずか0.5%にとどまることになる。下半期が4%以上の成長を見せないと、成長ペースは2011年以降で最低の伸びにとどまることになる。今後、万が一、1−3月期のように0.1%成長近くに見通しが引き下げられた場合、利上げどころか、量的緩和(QE)第4弾の可能性がささやかれることになる。米国経済への慎重な見方を拭うことはまだできていない。《NO》