東北大、カーボンナノチューブで生体分子活性を制御することに成功

2015年4月29日 13:02

 東北大学の井上裕一助教と石島秋彦教授らは、カーボンナノチューブ1本上で生体分子モーターの運動活性を観察し、レーザー照射によって運動速度を制御する新技術を開発した。

 カーボンナノチューブは、炭素原子からなる筒状の物質であり、導電性や弾性など優れた特性を持っている。その中でも熱伝導性は特出しており、金や銅より高い熱伝導率が報告されている。

 今回の研究では、ウサギ骨格筋から精製したミオシンをカーボンナノチューブ上に失活しないように吸着させ、カーボンナノチューブ自体もガラス上に固定した。そして、ATPと蛍光ラベルしたアクチンフィラメントを与えると、ミオシンラベルしたカーボンナノチューブに沿ってアクチンフィラメントが滑り運動するのが蛍光観察された。さらに、滑り運動中に、カーボンナノチューブの片端だけを、レーザー照射によって加熱したところ、アクチンフィラメントがカーボンナノチューブに沿って滑り運動する速度が、レーザー照射時だけ高速化することが分かった。

 今後は、より細く微小なカーボンナノチューブなどを用いて、細胞内の狙った分子1個だけの生きた活性を自由自在に操ることができるようになると期待されている。

 なお、この内容は「ACS Nano」に掲載された。論文タイトルは、「Single Carbon Nanotube-Based Reversible Regulation of Biological Motor Activity」。

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