東北大、フラーレン超電導体の転移温度を最大にする方法を明らかに
2015年4月20日 13:19
東北大学のコスマス・プラシデス教授らによる研究グループは、フラーレン超伝導体の超伝導転移温度が最大になる条件を明らかにした。
同研究グループは、これまでの研究で、炭素原子60個からなる分子「フラーレン」を構成単位とする物質が、分子性物質の中で最高の転移温度38K(ケルビン)を示すことを発見している。ただし、超伝導転移温度や、磁性絶縁体から超伝導への転換などの顕著な物性はすべて高圧下のみで観測されるため、詳細な電子状態の解明は未解決のまま残されていた。
今回の研究では、Cs3-xRbxC60という組成の化合物の合成に初めて成功し、磁性絶縁体から超伝導への転換を常圧の状態で実現することに成功した。その結果、38Kという高温の転移温度を持つ超伝導体では、分子の特性と固体の特性が均衡しているため、通常の金属状態とは異なり、ヤーン-テラー金属と呼ばれる特殊な状態を形成していることが明らかになった。
今回の研究成果は、新しい分子性超伝導の開発を後押しすると期待されている。
なお、この内容は4月17日付の米科学雑誌「Science Advances」に掲載された。論文タイトルは、「Optimized unconventional superconductivity in a molecular Jahn-Teller metal」。