九大、植物が硫黄の少ない環境で吸収量を増加させる仕組みを明らかに

2015年4月14日 21:11

 九州大学の丸山明子准教授らの研究グループは、植物が硫黄栄養の少ない環境におかれた時に、硫酸塩の吸収に働く遺伝子を増やす新しい仕組みを明らかにした。

 植物は環境中の無機イオンを体内に吸収し、体の中でタンパク質や炭水化物といった有機物に変える力を持っている。無機イオンの一つである硫酸イオンも植物の成長に必須な栄養素の一つで、環境中の硫酸イオン量が少なくなると、硫酸イオン輸送体の遺伝子発現を上昇させることで適応することが知られている。

 今回の研究では、硫酸イオン輸送体の一つSULTR2;1の遺伝子下流域をもつ植物ともたない植物を、硫酸イオンを十分含む培地と不足した培地で育てたところ、遺伝子下流域をもつ植物では、遺伝子発現を示すGFPの蓄積が増していることが分かった。これは、硫酸イオンの減少に伴って硫酸イオン輸送体の一つSULTR2;1のmRNA量が増加する現象は、その遺伝子下流域によって引き起こされることを示している。

 今後は、植物が硫酸イオンをもとにしてタンパク質やストレス耐性物質、人間にとっての有用成分を合成してる仕組みを利用することで、肥料が少なくてもよく育つ植物や人間の体に良い成分を多く含む農作物の育成に繋がると期待されている。

 なお、この内容は「The Plant Cell」に掲載された。

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