NEC、土中の水分量から土砂災害の危険度を算出する技術を開発

2015年4月14日 10:38

 日本電気(NEC)は13日、土中の水分量を解析することで、土砂斜面の崩壊の危険度をリアルタイム・高精度に算出できる新技術を世界で初めて開発したと発表した。

 現在、土砂災害の危険箇所に指定されるエリアは、日本全国で約52万箇所におよんでいる一方で、その全てに対して地質調査や対策工事を行うには、多くのコストがかかることから困難な状態にある。

 従来、土砂斜面崩壊の危険度を算出するには、指標となる「土砂の重量」・「水圧」・「土砂の粘着力」・「土砂の摩擦」など、降雨量により変化する土砂状態のデータを取得する必要があった。また、これらのデータをリアルタイムに得るには、指標ごとに専用のセンサを土中に設置する必要があり、コスト面などの課題があった。

 今回開発された技術は、複数の指標データを「土砂に含まれる水分量」のみからの算出を可能にし、水分量を計測するだけで、リアルタイム・高精度に斜面の危険度の把握を実現する。

 同技術により、従来に比べ、約1/3のセンサ数で斜面の「危険度」を算出できるため、従来と同じコストでより広範囲にセンサの設置が可能になる。これにより、土砂災害の危険性がある斜面を高精度に把握し、住民の避難時間や安全を従来以上に確保しながら、迅速な避難勧告・指示の発信に貢献するという。

 同技術を用いた実証試験で斜面の「危険度」を算出した結果、土砂災害の危険性ありと判定した10分~40分後に実際に斜面崩壊が発生することを確認。同社は今後、自治体・大学・研究機関などと共同で本技術の実証実験を進め、2015年度中の実用化を目指す。

 (記事:阪木朱玲・記事一覧を見る

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