NYの視点:世界は構造的なドル不足、巨大なドル需要に

2015年4月14日 07:01


*07:04JST NYの視点:世界は構造的なドル不足、巨大なドル需要に

市場で定評のある元国際通貨基金(IMF)のエコノミストでモルガンスタンレーのチーフ為替ストラティジストも務めたスティーブ・ジェン氏はユーロ・ドルの見通しで、3か月以内に0.96ドルを達成すると見ていることを明らかにした。多くのエコノミストは年末までにパリティ、1ユーロ=1ドルを想定しているが、それ以上に早いペースを予想している。ジェン氏は世界が「構造的にドル不足」に陥っており、累積需要が今後数年間のドル高につながっていくとの見通しを示した。最近のドルの停滞は「一時的だ」と判断。

米国以外の各国政府や企業が今後数年間に返済すると見込まれるドル建て借り入れの総額はおおよそ9兆ドルと過去最高規模に達すると言われている。金融危機を受けて米連邦準備制度理事会(FRB)がゼロ金利政策を導入したためにドルが下落した2008年の末には6兆ドルだった。BIS(国際決済)の統計をもとに、ジェン氏は「一部の諸国は返済のためにドルを調達する必要がある」と指摘。また、外貨準備でドル建てを減らしてきた世界各国の中央銀行も再びドルの比率を増やし始めている兆候も見られる。外貨準備においてドルが占める割合は2011年に60%と、2001年の73%から低下したが、その後、63%まで戻している。

フランスやスウェーデンは2か国だけで借入金が1000億ドル以上に達するという。長期にわたりドルの借り入れを累積してきた債務者は今後、どのように返済を実行するかを検討していくことになる。ドルの上昇を見込んで早めにドルを調達する、またはヘッジを開始することになる。ジェン氏は、中央銀行の金融政策のかい離拡大を見込む動き以上に巨大な需要につながると指摘している。

今週半ばに欧州中央銀行(ECB)の定例理事会開催を控え、欧州の債券利回りの低下に伴いユーロ売りが加速。ユーロ・ドルは心理的な節目である1.0500ドルを再び試すことになる。《KO》

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