北大、診断が困難な線維筋痛症候群の鑑別方法を開発
2015年4月11日 20:16
北海道大学は、慢性全身性疼痛を特徴とする原因不明の難病「線維筋痛症候群」を診断する方法を開発した。
線維筋痛症候群は、慢性全身性疼痛・疲労・睡眠障害などを特徴とする原因不明の難病で、日本では約200万人の患者がいるとされている。しかし、現在病院等で一般的に使われている検査データには何の異常も見られないため、診断が非常に困難であるという課題があった。
今回の研究では、MAIT(マイト)細胞の末梢血中での存在割合や、この細胞の表面上に存在する様々な抗原発現量を解析した。その結果、線維筋痛症候群では健常人に比べて末梢血中のMAITにおけるCD4陽性細胞の割合が有意に減少していることが分かった。また、この時MAIT細胞表面上に発現している抗原を解析し、健常人・線維筋痛症候群・脊椎関節炎・関節リウマチを鑑別できる10種類の抗原を同定することに成功した。
これらの結果からMAIT細胞上のある種の抗原発現量を解析することで、線維筋痛症候群と健常状態を区別でき、類似疾患である脊椎関節炎、関節リウマチと線維筋痛症候群を鑑別できることが分かった。
今後は、線維筋痛症候群に対して新たな客観的診断基準を付与することで、早期診断を可能とし、患者のQOL向上に寄与すると期待されている。
なお、この内容は「PLOS ONE」に掲載された。