中国は不動産バブル崩壊回避へ政策総動員の公算
2015年4月6日 08:29
*08:29JST 中国は不動産バブル崩壊回避へ政策総動員の公算
中国の住宅価格は下落傾向が続いている。3月の主要都市の住宅価格も下落しており、これで12ヶ月連続の下落となった。不動産取引全体の低迷も続いており、不動産の販売額は前年同期比で約15%も落ち込んでいる。特に地方の中小都市の状況は厳しい。
しかし、ここにきて中国は不動産バブル崩壊の回避に本腰を入れはじめたようだ。中国人民銀行(中央銀行)は金利の引き下げを示唆していたが、さらに先週は2軒目の購入の際にローンの頭金比率を従来求めていた6~7割から4割に下げるという住宅ローンの規制緩和策を発表した。住宅ローンの2軒目取得の際の規制は、投機目的での不動産投資を抑制し、不動産バブルの発生を抑えるために実施されたものだが、今度は逆に同規制を緩和することにで不動産市場のテコ入れに使われた格好となった。
いうまでもなく、急激に膨張した中国の不動産市場は同国経済のアキレス腱となっている。不動産投資は中国国内総生産(GDP)の大きな割合を占めていることから、不動産市場の変調の影響は多大なものとなる。また、不動産価格の下落は不動産収入に頼る地方政府に大打撃を与えるほか、シャドーバンキングによる金融商品(理財商品)のデフォルトにより中国国民が莫大な損害を被ることも必至だ。
ただ、今回わざわざ投機目的抑制で厳しくしてきた規制を元に戻すということは、中国当局の不動産市場に対する危機感がなみなみならぬものであることを図らずも示した。
中国当局は日本の不動産バブルの崩壊を相当研究しており、これを絶対に避ける意向を持っているとも言われている。
日本は不動産バブル崩壊後もかなり長い間金融引き締めを続けるという歴史的な大失敗を犯した。これにより日本経済は失われた20年ないし30年という大停滞期を招いた。まさに「あつものに懲りてなますを吹く」状態が続き、早めのゼロ金利解除などですぐに景気を冷やしてしまうことを繰り返して、長らくデフレが続くことになった。
中国はこのような日本の轍を踏まないように、なんとしてもバブル崩壊を回避するために政策を総動員してくるだろう。中国当局の意向が不動産バブル崩壊回避に大きく傾いた以上、バブルの崩壊は、起こるとしてもかなり先送りされることになるだろう。
ただ、より大きなバブルを作ってから崩壊するおそれがあることに注意が必要だ。《YU》