東大、量子テレポーテーションの心臓部を光チップ化 従来の1万分の1に縮小

2015年4月1日 15:02

 東京大学の古澤明教授とNTT先端集積デバイス研究所による研究グループは、量子テレポーテーション装置の心臓部である量子もつれ生成・検出部分の光チップ化に成功した。

 情報処理技術の性能は原理的限界に近づきつつあると言われている一方で、量子力学の原理を応用した新しいタイプの情報処理(量子情報処理)には、従来技術の限界を超える究極的な大容量通信(量子通信)や超高速コンピューター(量子コンピューター)が実現できると予測されている。そして、このような量子情報処理の実現へ向けた最重要課題の一つが、光子に乗せた量子ビットの信号をある送信者から離れた場所にいる受信者へ転送する量子テレポーテーションである。

 今回の研究では、量子テレポーテーション装置の心臓部である量子もつれ生成・検出装置の光チップ化に成功した。この光チップは、これまで約1平方メートルの光学定盤上に非常に多くの光学素子を配置して構成していた量子もつれ生成・検出部分を、約0.0001平方メートル(26ミリ×4ミリ)のシリコン基板上に半導体微細加工技術を用いて作製される石英系光導波路回路として実現した。従来と比べて1万分の1の大きさに縮小したことになるという。

 今後は、量子テレポーテーション装置全体を光チップ化することを目指している。

 なお、この内容は3月30日に「Nature Photonics」に掲載された。

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