情報関連で日本の競争力が低下―日銀レビュー、弱い輸出の背景を分析
2015年3月26日 21:04
日銀は26日、「わが国の輸出を取り巻く環境変化」と題したレビューをまとめた。レビューでは、リーマンショック後の日本の輸出動向を構造的に分析した。それによると、輸出は、勢いを欠く状態が続いたが、その要因としては、世界的な貿易活動の伸び悩みに加え、情報関連分野の趨勢的な競争力低下や、グローバルな設備投資需要の弱さが指摘されている。また、自動車を中心とした海外生産の加速といった変化などが、複合的に作用し、輸出を下押ししたと分析された。ただ、足元では円安などにより輸出は持ち直していると指摘している。
日銀レビューは、最近の金融経済に関する話題を、幅広い読者を対象に、平易にしかも簡潔に編集・発行しているもので、レビューで示された意見は同行調査統計局の執筆者に属し、必ずしも日銀の見解ではない。
レビューでは、リーマンショック後、世界貿易は伸び悩んでおり、その背景として、金融危機の後遺症などによる耐久消費財・資本財などの需要の停滞、新興国の技術力向上による製品内製化などが指摘されている。世界輸出に占める日本のシェア(実質ベース)も、リーマンショック以前の6%程度から5%程度にまで低下している。
日本の輸出シェア低下の要因としては、情報関連分野における趨勢的な競争力低下、日本の比較優位にある資本財のグローバル需要の弱さ、自動車の海外生産の加速などがあげられている。情報関連の競争力低下は、東アジア各国による技術的キャッチアップが大きな要因である。
ただ、足元では、情報関連の主要企業の構造改革が進み、さらに円安効果もあって、価格競争力に改善が見られるとされている。(記事:南条 誠・記事一覧を見る)