小惑星探査機「はやぶさ2」、第1回イオン・エンジン連続運転を終了

2015年3月22日 13:17

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は3月21日、小惑星探査機「はやぶさ2」の、イオン・エンジンの第1回連続運転が、同日5月30分に正常に終了したと発表した。

「はやぶさ2」は2014年12月3日に打ち上げられた後、搭載機器の初期確認を2015年3月3日に終え、また同日から今年11月から12月ごろに予定されている地球スイングバイに向け、イオン・エンジンを連続で運転して探査機の速度を上げる運用が行われている。連続運転は大きく2回に分けて、合計600時間行われ、これにより「はやぶさ2」は秒速60mほど速度を増すことになる。

 今回の第1回連続運転時間は409時間で、これは計画通り値だという。第2回の連続運転は、6月上旬ごろに始まる予定とのことだ。

 イオン・エンジン連続運転の終了は、前日の運用までに、あらかじめ探査機に送信したコマンド・プログラムに従い、そのタイムシーケンスの中で「噴射終了」の指示が発信され、自動で行われたという。またこの時、「はやぶさ2」は日本の運用局からは見えない位置にいたため、21日の14時5分から21時5分に行われた運用時に、探査機の状態を示すデータ(テレメトリ・データ)を取得し、予定通り21日5時30分に噴射が終了していたことが確認されたという。

 連続運転中のイオンエンジン稼働状態、連続運転後の軌道情報などに関しては、今日までに取得したテレメトリ・データの詳細解析を順次行い、解析結果がまとまり次第、JAXAより発表が行われるという。

「はやぶさ2」は、かつて2003年に打ち上げられて小惑星イトカワの探査を行い、そして2010年に地球へ帰還した「はやぶさ」の後継機として、2014年12月3日に種子島宇宙センターから打ち上げられた。「はやぶさ2」は自身の持つ観測機器を使って探査を行い、また砂などのサンプルを採取して地球に持ち帰るというミッションを背負っている。「はやぶさ2」による観測や、また持ち帰ってきたサンプルを地球上で分析したり、さらに先代の「はやぶさ」や他の小惑星・彗星探査機が得たデータと比較することで、太陽系の起源と進化や、生命の原材料を探求することを目指す。

 目的地の1999 JU3と呼ばれる小惑星は、有機物や含水鉱物をより多く含んでいると考えられている「C型」という種類の小惑星で、先代の「はやぶさ」が赴いたS型小惑星のイトカワと比べ、より始原的な天体であるとされる。

 現在行われているイオン・エンジンの連続運転が無事に終われば、今年の11月、12月ごろに地球スイングバイに挑む。そして速度を上げつつ軌道も変え、2018年の6月、7月ごろに目的地である小惑星1999 JU3に到着する予定だ。そこで約1年半にわたって探査活動を行い、2019年11月、12月ごろに小惑星を出発、そして2020年の11月、12月ごろに地球に帰還カプセルを投下する。カプセルは地球の大気圏に再突入し、先代と同じオーストラリアのウーメラ砂漠に着陸する予定だ。また探査機本体はカプセル分離後も航行を続け、別の星の探査を行うことなどが計画されている。

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