アットコスメの中国進出 日本化粧品業界の助け舟になるか

2015年3月18日 08:17

 2月19日、中国の旧正月に伴い、新宿・銀座は中国人観光客で溢れていた。中国人の観光客と言うと、電化製品を買い溜めするイメージが強い。だが、実際には日本のお土産で最も多かったのは「化粧品」ということが、中国版ツイッター「ウェイボー」でお土産関連ツィートを100ツィート分抽出した結果分かった。

 化粧品といっても日本を代表する資生堂<4911>などの大手化粧品メーカーではなく、ドラックストアなどで手に入る中小企業の化粧品メーカーが多く挙っていたというのだから、また意外である。

 この事は中国では、たとえ高級ラインの化粧品でなく、ドラックストアで買える低価格の化粧品でも売れるという位、日本製の商品へ信頼が高まっていると言える。

 そんな中国の化粧品全チャネルの市場規模は、2013年で3338.6億元(約6兆円)であり、化粧品を含めた海外輸入商品購入市場は2013年に767億元(約1.48兆円)に達し、前年比58.8%増の伸張を見せており、化粧品のEC販売は現在、急成長している。今まさに、日本を含め世界の化粧品メーカーが進出したい市場といえるだろう。

 だが、大手のメーカーはまだしも中堅化粧品メーカーは、多くが中国に進出できていないのが現状だ。その要因の一つに中国は化粧品の販売に対して厳しい規制があることが挙げられる。実際、通販サイトの運営経験が未熟なうちにいきなり海外通販をはじめると、成功の可能性はかなり低い。?その為、人員が大手メーカーのように確保出来ない中堅メーカーは、観光客をいかに取り込むかしか、海外戦略がなかった。

 そんな折、アイスタイル<3660>は、2月2日海外の消費者をターゲットとした越境ECや化粧品卸事業に参入したことを発表した。

 第一として、コスメの口コミなどを見る事が出来る美容サイト「アットコスメ」で人気の国産化粧品を中国向けに販売する予定だ。同社では海外向けの化粧品卸専門会社となるアイスタイルトレーディングを設立。 海外の化粧品販売事業者に国産化粧品を卸す際の輸出業務を担い、 物流面から化粧品メーカーをサポートする。

 アイスタイル<3660>は、「日本の中堅メーカーの海外進出」と「中国圏の人々の要求」といった需要と供給に目をつけ、グローバル事業で更なる拡大を狙う。これは、独自のオムニチャネルとECサイトの運営の強化でノウハウも期も熟した同社だからこそのビジネスであろう。

 この出来事は、中堅メーカーにとって大きな意味を持つ。なぜなら、アットコスメサイトで人気商品となれば、海外進出の切符を手に入れる事になるからだ。アイスタイル<3660>と中堅メーカーとの密接な関係が、日本の化粧品業界をさらに盛り上げてくれることになるだろう。(編集担当:久保田雄城)

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