NYの視点:世界低インフレ圧力の中、FOMCは「忍耐強く」削除に動くか
2015年3月18日 07:06
*07:06JST NYの視点:世界低インフレ圧力の中、FOMCは「忍耐強く」削除に動くか
英国中央銀行のカーニー総裁やウェールズ金融政策委員会(MPC)委員は世界の展開が国内のインフレに影響を与えているため利上げを先送りする可能性を示唆した。日本銀行も金融政策決定会合で金融政策を据え置き物価目標達成に自信を再表明したものの、インフレの短期的見通しでエネルギーの動向により低下する可能性も排除していない。燃料価格の下落、世界的なインフレの低下、ドル高によるディスインフレへの影響が懸念される環境下、今回の連邦公開市場委員会(FOMC)で米連邦準備制度理事会(FRB)が金利のフォワードガイダンス「忍耐強くpatient」の文言を削除し、6月会合での利上げ開始の可能性を示唆していくかどうかが焦点となる。断行した場合にはドル買いに拍車をかける。
連邦公開市場委員会(FOMC)を控えて経済専門局CNBCが実施した調査によると、対象となった38人のエコノミスト、アナリスト、マネーマネジャーのうち3分の2の回答者が今回の会合でフォワードガイダンスの「忍耐強くpatient」の文言を削除すると見ていることが明らかになった。「忍耐強くpatient」との文言は「次回2会合で利上げはないこと」を意味する。従って、文言が排除された場合には次回2会合で、FRBが利上げを開始する可能性が浮上することになる。FOMCはこの会合で「米国の経済で、ゼロ金利政策が正当化されるか」との質問に答えることになるが、「no、正当化されない」と答える可能性が強いとの見方。利上げ時期の平均予想は8月で、前回調査の9月から早まった。
しかし、利上げのペースはかなり緩やかになると見ているようだ。今回の引き締めサイクルは2017年第4四半期に3.04%でピークを迎えるとの見通し。1月の調査からは第1四半期早まった。回答者の54%はFRBの金融政策が「過剰に緩和的」で後手に回っていると見ている。50%超は初めて。32%の回答者は現行の金融政策が「正しい」と見ているが、1月の47%から低下した。
一方、調査では今後12か月間で景気後退に陥る確率が3ポイント上昇し16.4%となった。回答者はまた、本年の成長見通しを2.7%と、前回の2.8%から引き下げた。FRBの3%成長見通しも下回る。また原油安やドル高で本年のコアインフレ見通しは1%。FRBの2%見通しを大幅に下回った。《KO》