日銀、金融政策は現状を維持 物価見通しは当面0%程度
2015年3月17日 20:36
日銀は17日開いた金融政策決定会合で、景気は緩やかな回復基調を続けているとして、金融政策の現状を維持することを決めた。資金供給量(マネタリーベース)を年間約80兆円に相当するペースで増加するよう現状の金融市場調節を継続する。資金供給の手段については、長期国債保有残高を年間約80兆円、株価指数連動型上場投資信託(ETF)及び不動産投資信託(REIT)をそれぞれ約3兆円、約900億円に相当するペースで増加するよう買い入れを行う。金融政策の現状維持方針は、9人の委員のうち8人が賛成、1人が反対した。
景気の現状に関しては、緩やかな回復基調を続けているとする一方、海外景気も先進国を中心に回復しているとした。国内では、輸出が持ち直し、企業の収益が改善する中で、設備投資は緩やかな増加基調にある。
個人消費に関しては、「一部で改善の動きに鈍さが見られる」と判断された。ただ、雇用・所得環境の着実な改善を背景に、全体としては「底堅く推移している」とされた。
物価面では、消費者物価(生鮮食品を除く)の前年比は、消費税増税の直接的な影響を除いたベースで0%台前半で推移しているものの、予想物価上昇率は「やや長い目で見れば、全体として上昇している」と判断した。
先行き消費者物価の前年比は、原油価格下落の影響から、当面0%程度で推移すると見られるものの、日銀としては、2%の「物価安定目標」の実現を目指し、現在の「量的・質的金融緩和」を継続するとした。反対した委員は、2%の物価安定目標の実現は、中長期的に目指すとしたうえで「量的・質的金融緩和」を2年間程度の集中対応措置と位置づけるべきだとした。(記事:南条 誠・記事一覧を見る)