日経平均のダウ離れ

2015年3月16日 07:59


*08:03JST 日経平均のダウ離れ
日経平均株価が約15年ぶりに19000円台を回復した。最近の特筆すべき動きは、日経平均の「ダウ離れ」である(ダウは米国の代表的な株価指数)。
 日経平均は概ねダウの子分という扱いで、ダウが上がれば日経平均も上がる、ダウが下がれば日経平均も下がるという従属的な立場だった。さらに、どちらかというとより弱い子分で、ダウが上がってもさほど日経平均は上がらず、ダウが下がると2倍下がるといった感じだった。また、円とドルで通貨も違えば、銘柄構成や銘柄数も全く違うのに、例えばダウが「17500」ドルのとき日経平均が「17500」円を超えようとすると、「生意気だ」と言わんばかりにそこから大幅に下げる法則もほぼ確立されていた。
 しかし、先週の11日に日経平均は驚くべき動きをみせた。前日にダウが−330ドル超と今年最大の暴落となったにもかかわらず、日経平均は安値で寄り付いたあとグングン上昇し一時170円高、大引けでも58円高となった。従来のイメージからすると日経平均は300円~500円ほど下がってもおかしくないパターンであった。その後も、ダウは米国の利上げ観測で不安定かつ弱含む動きをみせているが、日経平均はダウの影響をほとんど受けない堅調な動きとなっている。
 日経平均のダウ離れの原因は何であろうか。最近よくいわれる「官製相場」だからであろうか。確かに、年金や日銀の買いは大きい。しかし、ドイツのダックス指数は日経平均よりもさらに強い上昇基調で過去最高値を更新している。これは主に欧州中央銀行の量的緩和によるユーロ安を受けたドイツ企業の好業績期待を反映するものだ。日本も日米金融政策の乖離でドルに対して円安が進んでいる。
 現在の動きは、米国の利上げ開始をにらんで、異次元緩和継続の日本と量的緩和に踏み出した欧州の株式市場に資金が流入していると言うこともできる。外国人投資家による日本株の買い越し基調も鮮明となってきた。
 ただ、資金の動きだけではなく、円安・原油安による日本企業のファンダメンタルズは急速に改善してきている。輸出も増えてきてJカーブが遅ればせながら効いてきたほか、賃金上昇による消費拡大・デフレ脱却にも期待がかかる。一時円安倒産が増えたなどと騒がれていた倒産件数も、2月の件数は24年ぶりに700件を下回る水準となって大幅に減少し続けている。
 「官製相場」という言葉だけに惑わされず、冷静にファンダメンタルズの変化を注視すべきだ。《YU》

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