三菱重工、宇宙太陽光発電システムの無線送電技術の地上実証試験に成功
2015年3月12日 18:01
三菱重工業は12日、神戸造船所内において、将来の発電システムである宇宙太陽光発電システムの中核技術として開発が進む無線送電技術の地上実証試験を実施し、長距離の無線送電に成功したと発表した。
同実証試験では、送電ユニットから10キロワットの電力をマイクロ波で無線送電し、500メートル離れた受電ユニット側に設置したLEDライトをその電力の一部を使って点灯させることに成功。無線送電距離としては500メートルは国内最長で、10キロワットも国内最大電力となる。また、ビームが受電ユニット以外の方向へ放射することのないように制御する先進の制御システムの適用試験も実施し、問題のないことを確認した。
今回の地上実証試験は、経済産業省から一般財団法人、宇宙システム開発利用推進機構が受託した「太陽光発電無線送受電技術の研究開発事業」の一環として、同法人との契約に基づき実施したもの。
無線電力伝送技術は、これまでケーブルをつないで電気を送っていたものを、無線化する技術。宇宙太陽光発電システム向けに開発が進んでいるこの無線送電技術は、電波放射型といわれるもので、今回の地上実証試験の成功は、地上のさまざまな場面で従来にない長距離の無線送電に道を拓くものと注目される。
これまで送電線の敷設が困難であった場所への送電や、洋上風力発電から陸上への送電、また身近な応用例としては、電動車両への無線充電といったものが期待される。(記事:宮野 浩・記事一覧を見る)