中国:国家安全部が諜報活動を摘発、空母「遼寧」の盗撮など
2015年3月12日 09:43
*09:43JST 中国:国家安全部が諜報活動を摘発、空母「遼寧」の盗撮など
中国の情報機関として知られる国家安全部が昨年、空母「遼寧」など軍事機密に絡む諜報活動2件を摘発していたことが分かった。いずれも軍事戦略の要地として、関連施設が集中する遼寧省大連市で昨年3-4月にかけて発生。西側諸国の関与が疑われている。環球網など複数の中国メディアが11日付で伝えた。
国家安全部は昨年4月、大連市の大型企業に勤務する韓容疑者(姓のみ公表)の不振な行動に注目。韓容疑者が同市内にある軍事装備の生産拠点に侵入し、写真撮影を繰り返している事実を突き止めた。逮捕後の調べで、韓容疑者は偶然知り合った記者から頼まれて撮影したと供述した。昨年3月、記者を名乗る見知らぬ人物からSNSを通じて接触があったという。その記者は韓容疑者に対し、ニュース材料として、軍事施設の写真が欲しいと協力を持ちかけたとされる。記者は韓容疑者に市内のある軍事企業に就職するよう指示。韓容疑者は言われるままに軍事企業に就職し、関連施設の撮影を行った。韓容疑者は数カ月で、記者に関連写真数百枚を提供。見返りとして9万人民元(約174万円)超の謝礼を受け取ったとされる。大連市以外でも遼寧葫芦島市にある重要軍事施設の撮影、北京市で開催された国防付属産業技術の展覧会で撮影・録音などを行った。韓容疑者を利用した記者は、国家安全部が当初からスパイと特定した人物だったという。
もう一方の案件も韓容疑者とよく似たケースだ。河北省出身の張容疑者はSNSで友達申請を受けた見知らぬ人物から大連港に停泊する空母「遼寧」の撮影を依頼された。依頼主は張容疑者に海外の雑誌編集者を名乗ったとされる。手厚い報酬を餌に張容疑者を引き込んだようだ。14年8月に当局に身柄を拘束されるまでに、張容疑者はこの雑誌編集者に「遼寧」の写真500枚以上を手渡したという。
中国初の空母「遼寧」は2012年9月25日、正式に配備された。海軍の遠洋作戦能力向上、近代化を進める。前称は「ワリャク」。ウクライナで建造されたものの、完工前に売却され、遼寧省大連市の造船所で改修された。満載排水量6万7000トン、全長305メートル。約40機の戦闘機が搭載可能となっている。
【亜州IR】《ZN》