NYの視点:米2月雇用統計=イエレンダッシュボード改善、利上げ観測強まる

2015年3月7日 07:33


*07:34JST NYの視点:米2月雇用統計=イエレンダッシュボード改善、利上げ観測強まる

良好な米雇用統計を受け、米連邦準備制度理事会(FRB)が17−18日に開催される連邦公開市場委員会(FOMC)でフォワードガイダンスの「辛抱強く」との文言を削減し、6月または9月の利上げに向けて準備を進めるとの見方が強まった。金融先物市場では2015年末で50ベーシスポイントの利上げを織り込んだ。2週間前は30ベーシスポイントだった。

米労働省が発表した2月雇用統計で非農業部門雇用者数は前月比29.5万人増と、予想の23.5万人増を上回った。悪天候の影響が響くとされていた小売や建設セクターでも雇用の増加が見られた。イエレンFRB議長が労働市場のたるみをはかるダッシュボードでも改善が見られる。*失業率:5.5%と1月5.7%から予想以上に低下し、2008年5月以来で最低となり、完全雇用と見られる5.2−5.3%に一方近づいた。*広義の失業率(U-6)も11.0%と、1月の11.3%から低下し2008年8月来の水準まで低下した。*労働参加率も62.8%と1月の62.9%から低下。*15週以上の長期失業率も46.5%と、1月47.1%や前年同月52.2%から低下したが、40%は上回ったまま。

同時に、雇用のたるみの改善が遅く、賃金やインフレの伸びが低水準にとどまっていることも確か。イエレンFRB議長のたるみダッシュボードによると、雇用や失業率の改善にもかかわらず9つの項目の中で危機前の水準に改善しているのは依然3項目に限られる。このため、時期尚早の利上げを警告する市場関係者も少なくない。米ウォ—ルストリートジャーナルしのFEDウォッチャー、ヒルゼンラス氏も「6月の利上げは必ずしも確実ではない」との見解を示した。

○イエレンFRB議長の雇用たるみダッシュボード

◎危機前に比べ状態が改善 危機前の水準と比較
12月解雇率(Layoffs/discharges rate):1.2%(11月1.2%) 1.4%(下回る)
2月雇用者数(Nonfarm payrolls):29.5万人(1月23.9万人) 16.18万人(上回る)
12月求人率(Job openings rate):3.5%(11月3.3%) 3%(上回る)

◎状態が危機前より依然悪い
2月失業率(Unemployment rate):5.6%(1月5.7%) 5%(上回る)
12月退職率(Quits rate):1.9%(11月1.9%) 2.1%(下回る)
2月広義の失業率(U-6):11.0%(1月11.3%) 8.8%(上回る)
12月採用率(Hires rate):3.7%(11月3.6%) 3.8%(下回る)
2月長期失業率(15週以上):46.5%(1月47.1% 、前年52.2%) 19.1%(上回る)
2月労働参加率:62.8%(1月62.9%) 66.1%(下回る)《KO》

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