NYの視点:ECBのQE管理法、欧州の債券利回りやユーロを左右
2015年3月4日 07:01
*07:04JST NYの視点:ECBのQE管理法、欧州の債券利回りやユーロを左右
欧州中央銀行(ECB)はキプロスで開催する定例理事会で、今月の量的緩和(QE)実施に向けた準備をする。現在のところドラギECB総裁はQEを開始する明確な日付など詳細を明らかにしていない。多くのアナリストはドラギ総裁が今回の会合後の記者会見で、量的緩和(QE)に関する詳細を発表することを期待している。ECBが1月にQE発表後、欧州債券相場は大幅に上昇、利回りは低下した。ドイツ連邦債の利回りは6年物までマイナスとなった。スペインやイタリアの10年債利回りの低下も激しい。
ECBがどのように国債購入プログラムを管理していくかで今後の地域の債券相場が左右される。QEは通常、成長やインフレを引きあげいずれ利回りの上昇やユーロの上昇につながると見られている。一部のアナリストは地域の債券利回りが上昇する前に一段と低下する可能性を指摘。ECBは各月600億ユーロ規模の資産購入を発表したが、価格次第で購入を躊躇した場合、中央銀行の信頼を損ない管理能力にも懐疑的見方が広がる。ドラギ総裁は市場の混乱を好まない。このため、ECBは購入規模を目標水準以下にとどめる決定をする可能性もある。また、ECBが購入可能な国債総額にも懸念が残る。
ECBは国債購入の規模や購入する債券の決定を各国中央銀行に委託する可能性もある。そうなると、QEの効果は各国で相違することになる。こういった状況は一段の債券利回り低下につながると見られている。ただ、ドイツ連邦債の10年物がゼロ近くまで低下している中、ECBが今後、どの程度の利回り低下を望んでいるかにも疑問が残る。《KO》