NYの視点:6月の米利上げの可能性を探る

2015年2月20日 07:01


*07:04JST NYの視点:6月の米利上げの可能性を探る

米連邦準備制度理事会(FRB)が公表した1月開催分の連邦公開市場委員会(FOMC)議事録を受けて利上げ観測が後退した。金融先物市場での6月FOMCでの米利上げ確率は20%と、議事録公表前の25%から低下した。また、ドル高による輸出への影響が指摘されたことなどから、米当局が「通貨戦争に参戦」との見方も浮上しドルの買い意欲が一段と弱まった。

議事録は予想に反してハト派寄りとなったが、雇用の増加が継続し、インフレが低下しない限り潜在的に6月の利上げの可能性は残る。米労働省が発表する週次の失業保険申請件数も各月20万人以上の雇用増を示唆し、失業率を低下させるために十分な雇用の改善となる。また、議事録の中で、ドル高による輸出への影響やドルが上昇するリスクが指摘されたものの、特別に強い警告とは考えられておらず、ドル買いには依然青信号がともる。ただ、イエレンFRB議長がワシントンで24日に上院銀行委員会、25日に下院金融委員会で予定している金融政策および経済情勢に関する半期に一度の議会証言や3月のFOMCまで、ドルは米国の金融政策への不透明感から方向感を探るもみ合いとなる可能性がある。

■米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録(1月27-28日開催分)ポイント

中立姿勢
*金融政策は指標次第、指標により方針転換する。
*国際情勢など、成長へのリスクは低い。リスクとしては、中国の低成長、世界の混乱、中東、ウクライナ、ギリシャ情勢が重要になる。

ハト派姿勢
*「辛抱強く」とのフォワードガイダンスで、「辛抱強く」の文言削除を受けた反応を懸念。
*コア指数の低下で、インフレの下方リスクが上昇したことを認識。
*多くのメンバーが遅れるよりも時期尚早の利上げに懸念を表明した。

タカ派姿勢
*利上げの条件がそろいつつある。
1)労働市場の更なる改善が見られる。1月の雇用統計は予想以上に強く、昨年の雇用者数も大幅に上方修正された。
2)コアPCEインフレの安定または上昇。
3)賃金の伸びに関しての見方はまちまち。昨年10-12月の雇用コスト指数(ECI)は前四半期の0.7%増に続き0.6%増と大きな変化は見られなかった。
*ドル高が輸出を抑制しているとしたものの、委員会が特に警戒している様子は見られず、ドルが一段と上昇する可能性が残る。《KO》

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