1月の景気ウォッチャー発表 指数微増も回復に弱さ・一方で雇用は改善の動き

2015年2月18日 10:37

 2月9日、内閣府による2015年1月の景気ウォッチャー調査結果が発表された。景気現状判断指数は前月比0.4ポイント上昇し、45.6ポイントとなった。2ヶ月連続の上昇ではあるものの、横ばいを示す50ポイントを6カ月連続で下回り、内閣府コメントも「景気回復に弱さがみられる」と懸念を示した。家計動向調査、企業動向調査、雇用動向調査、それぞれの現状判断と先行き判断をみていきたい。

 家計動向調査については、現状に対するプラス材料は、ガソリン・灯油の価格低下によるゆとりが挙げられている。マイナス材料は、スーパーの食品などの値上げが続き、ますます節約志向が高まり消費マインドの低迷が続いている点だ。四国の旅行代理店からは、円安と相次ぐテロ事件の影響で、海外旅行の申し込みが激減しているとの声も聞こえている。

 家計動向の先行き判断。プラス材料は消費税増税延期もあり、昨年に続く賃金ベースアップが見込める可能性が高いことだ。そうした実質所得増加が、消費マインドを押し上げるのではないかと見られている。また、桜の季節の観光客予約はすでに順調で、春の観光シーズン到来による消費増加も見込まれている。一方で、賃上げなどの動きは地方にまで届いておらず、消費マインドの押し上げも一部に留まるのでは、との冷静な見方も強い。

 企業動向調査の現状に対するプラス材料は、燃料価格の低下による物流部門の改善が特徴として挙げられている。しかし一方で、コスト上昇を価格に転嫁できない状況が続いているため、採算が悪化しているとの声も聞かれている。先行き判断は、円安の影響から生産の国内回帰が拡大し設備投資が進むのでは、と期待されているが、現状でもマイナス材料の、コスト分を価格に転嫁できない状況は依然続くと見られ、根本的な収益回復につながるかは不透明だ。

 雇用動向調査は、判断指数が前月比5.8ポイント上昇し、54.8ポイントと大きく改善された。これは昨年8月以来となる指数で、新卒採用が本格的にスタートする春に向けてさらに期待が高まっている。

 全体としては回復の足取りは重く、早期の消費回復や地方への賃上げ拡大は難しそうだ。しかし、雇用の増加からは企業の質的改善傾向が見られ、この動きがこの先一年の景気回復を長期的に底支えしていく可能性も高い。1月の景気ウォッチャーからは、消費マインドは厳しいものの、雇用環境の改善による長期的な回復の兆しを見ることができたと言えるだろう。(編集担当:久保田雄城)

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