悪意ある投稿をするスマホ利用者が増加、倫理意識は低下傾向に=IPA
2015年2月18日 21:10
情報処理推進機構(IPA)は17日、情報セキュリティの脅威と倫理に関する意識調査の結果を発表した。同調査によると、若年層やパソコンの習熟度が低い利用者は適切なパスワードを設定していない傾向があったほか、悪意ある投稿をするスマートデバイス(スマートフォンまたはタブレット端末)の利用者が増加し、倫理意識の低下傾向が見られた。
セキュリティの脅威に対する意識調査結果のポイントは以下の通り。
■若年層およびパソコンの習熟度が低い利用者は適切なパスワードを設定していない
パソコン利用者に対し、使用しているパスワードの設定方法などについて調査したところ、前回調査と同様に「パスワードは誕生日など推測されやすいものを避けて設定している」や「パスワードは分かりにくい文字(8文字以上、記号含む)を設定している」は全体の半数以上が実施している。しかし、10代ではそれぞれ36.4%、39.2%と実施割合が低かった。
パソコン習熟度別では、最も習熟度が低かった「レベル1」の利用者がそれぞれ36.6%、29.5%と全体の割合に対してやはり低い結果となった。また、「サービス毎に異なるパスワードを設定している」(29.2%)は10代で15.8%、レベル1で15.4%と、全体の約半数の実施率であった。
パスワードリスト攻撃による不正ログインの被害が相次いでいる状況から、パスワードを適切に設定・管理し、自分自身でアカウントを守る意識が求められる。
■行動ターゲティング広告は、利便性よりも閲覧履歴等の情報が収集されることやその管理が不安視されている
行動ターゲティング広告について、インターネット利用者がどのように思っているか調査したところ、「興味がある情報や広告が提供されるので参考にしている」(14.5%)、「商品の購入など積極的に活用している」(4.8%)と活用している利用者は少ない。
一方で、「知らない間に自分の情報が収集されている様で、気持ちが悪い」(54.7%)、「収集されている情報が漏えいしないか不安である」(36.5%)が上位となり、利便性よりも自身の情報が収集されることや収集された情報の管理を不安に思う利用者が多い。
なお、行動ターゲティング広告を無効にするためには、広告の配信サービスに対してオプトアウト(opt-out)を行う必要があるが、用語としてオプトアウトを知っているとの回答は27.9%であった。広告を受信拒否できることを知らずに、配信を受けている利用者も多数いることが推測される。
セキュリティの倫理に対する意識調査結果のポイントは以下の通り。
■悪意ある投稿をするスマートデバイス利用者が増加。倫理意識の低下傾向が見られる
インターネット上に投稿をした経験がある利用者において、悪意ある内容の投稿をしたことがあるか調査したところ、前回調査と比較してパソコン利用者では4.2ポイント減少したものの、スマートデバイス利用者では3.4ポイント増加した。
スマートデバイス利用者にその理由を聞いたところ、前回調査から増加したポイント数の多い順に、「相手に仕返しをするために(13.2%)」が+5.4ポイント、「人の意見に反論したかったから(32.3%)」が+4.4ポイント、「炎上させたくて(6.8%)」が+4.0ポイントであった。
さらに、投稿後の感情を聞いたところ、後悔や反省を感じる割合は少なく、「気が済んだ、すっとした」が31.9%と最も多かった。
インターネット上に投稿した内容次第では、その情報が広範囲に拡散し、削除できなくなることがある。一時的な感情に任せた投稿をしないよう、冷静に行うことが必要である。
■“他人のアカウントであっても、推測等でログインできたらインターネットサービスを利用する”20代の利用者の割合は前回調査より倍増
スマートデバイスのインターネット利用者に対し、他人のアカウントを無断で使ってサービスを利用する行為について調査したところ、親や友人、知り合い、全く知らない他人、それぞれのアカウントに推測等でログインできた場合にサービスを利用する可能性があると答えた20代の割合は23%台と、すべての項目で全体平均より8.2ポイントから9.2ポイント高くなった。
ネットワークを介して他人のアカウントを利用することは、不正アクセス禁止法違反になることから、IPAは規範意識の向上とともに、インターネット関連の法律に関する知識を身につける必要があるとしている。
今回の調査対象となったのは、13歳以上のPCおよびスマートデバイスのインターネット利用者で、有効回答数はパソコン:5,000名、スマートデバイス:3,500名。(記事:町田光・記事一覧を見る)