東北大、光で筋肉を再生する技術を開発 ALSなどの治療法開発に期待
2015年2月12日 15:18
東北大学の八尾寛教授らによる研究グループは、緑藻クラミドモナスに見られる光応答性イオンチャネルの改変体を筋芽細胞に組み込むことで、光に対して感受性を持つ筋細胞を開発すること、さらにその細胞に光を照射することで収縮能力を獲得した骨格筋細胞に成熟させることに成功した。
未分化な細胞が分化・成熟する過程には、電気刺激や張力などの外部からの刺激が必要であることが知られている。しかし、従来のタンパク質による細胞培養法では刺激に対して収縮運動する細胞が少なく、骨格筋を対象とした研究は主に動物実験で調べられてきた。
今回の研究では、チャネルロドプシングリーンレシーバー(ChRGR)の遺伝子を筋芽細胞に組み込むことで、光に対して感受性を持つ筋細胞を開発した。そして、培養中の細胞に対して継続的に青緑色光を照射したところ、細胞内にある収縮の最小構成単位であるサルコメア構造の発達が促進されることが分かった。さらに、このように発達した筋細胞が、光刺激に応答して収縮することも明らかになった。
今後は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)など、極度の筋力低下を伴う重篤な難病患者に対し、失われた骨格筋の機能を補完・回復できる新しい治療法の開発に繋がると期待されている。
なお、この内容は2月9日に「Scientific Reports」に掲載された。