【中国の視点】米ドルの1人勝ちが貿易摩擦を引き起こす恐れ、米国内からも反発

2015年2月12日 08:27


*08:28JST 【中国の視点】米ドルの1人勝ちが貿易摩擦を引き起こす恐れ、米国内からも反発
米ドル指数はすでに12年ぶりの高値を記録している。昨年6月以来米ドルが日本円やユーロ、ブラジルのレアルに対して、それぞれ16%、18%、20%上昇しており、米ドルの1人勝ち状態が鮮明になっている。また、対人民元も昨年からこれまでの下落傾向から一転し、じりじりと上昇している。

米量的緩和(QE)の終了や利上げ観測が米ドル買いの背景にある。ただ、米国内からの反発が徐々に強まっている。米ナスダック総合指数に占めるウエートの高い多国籍企業が米ドル高に伴う業績低迷が報告されている。日用品大手のP&Gは2015年の増益率がゼロになると予測。また、建設機械大手キャタピラーは昨年10-12月期に25%の減益に転落した。

ほかに、米ドル高が米金融業界にも悪影響を与え始めている。多くの米国の市中銀行がユーロ建てで資産規模を計算しているため、米ドル高に伴う資産規模が拡大したため、市中銀行が自己資本を追加で用意することを余儀なくされている。シティバンクは最新リポートで、欧州中央銀行(ECB)が追加量的緩和に踏み切ったことが、米国の市中銀行の自己資本比率を50ベーシスポイント(bp)押し上げることと同程度のダメージを与えているとの見方を示した。

なお、ジェイコブ・ルー米財務長官は今月初め、米国以外の主要経済国が成長目標を達成できないことに失望を感じると発言。米経済だけでは世界経済をけん引することができないと指摘した。また、人民元安(対米ドル)の進行にも懸念を示しており、人民元の切り上げの必要性を再び強調した。

中国の専門家は、米国内からの反発を受け、米ドルの1人勝ちの流れがいずれ調整されるとの見方を示した。この流れが継続した場合、米中間などの貿易摩擦を引き起こす恐れがあるため、米当局もそれまでに何らかの対策を講じると予測している。《ZN》

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