理研など、高分子合成で繋がる分子数を簡単にコントロールする方法を開発

2015年2月10日 16:10

 理化学研究所の宮島大吾特別研究員らによる研究グループは、試験管中で原料を混ぜるだけで高分子を精密に合成する方法を開発した。

 化学反応で連結させるのではなく、水素結合や分子間の相互作用などを利用して接着させた高分子を超分子ポリマーと言う。超分子ポリマーは、磁石のように簡単に離したり再度接着させたりすることが可能で、新時代の高分子として大きな期待が寄せられている。

 今回の研究では、まず、分子の連結点をあらかじめ環状に連結させておき、勝手に他の分子と連結してしまうことを防ぐようにした。そして、ここに連結点を一つだけ持つ分子を入れると、環状になっていた分子内の連結が解かれて繋がっていく。この方法では、環状の分子をあらかじめ1000個入れておいた場合、その後に2個の分子を入れれば500個ずつ分子が繋がり、20個入れれば50個ずつ繋がる。つまり、高分子の鎖の長さを一義的に決めることができる。

 今後は、精密合成が簡単で、使用後は原料まで完全にリサイクルできる高分子合成の例をどれだけ増やしていけるかが、課題となっている。

 なお、この内容は2月5日に「Science」に掲載された。

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