介護の人手不足を留学生で補う意味とは
2015年2月9日 11:55
介護の人材不足はただでさえ深刻だ。大変な仕事との印象が強いだけに、介護職を希望する若者は少ない。それに加えて給与も低いことが、問題の深刻さに拍車をかけている。高齢化がピークを迎える2025年には、30万人も人材が不足するとの調査結果もある。
それに加えて、政府は15年1月、介護報酬をさらに2.27%引き下げると決定した。政府の試算では、利用者が増加するため、介護報酬を引き下げても職員の給与は1万2千円増やせるとのことだ。しかしこれでは給与が増えても仕事量は増加するのではないか。その場合、職員の離職は減らず、さらなる労働負荷の増加につながる恐れもある。
そういったことを懸念してか、厚生労働省は16年にも、介護労働の外国人技能実習を認める方針を決めた。外国人技能実習制度は、名目上は発展途上国への技術移転を目的としているが、実際には日本での人材不足を補うために使われるのは明白だ。
民間企業にも動きがある。医療機関向けに人材コンサルティング事業を行うA-LINEは、アルバイトを探している留学生と家事や介護などを必要とする人とのマッチングサービスを始めると発表した。このサービスは、安価な家事や介護のサービスを探している家庭に、短時間のアルバイトを希望している留学生を紹介するもので、同種の他サービスと比較して半額程度の料金でサービスが受けられるとのことだ。
介護の人材不足は、まさに待ったなしの問題だ。だから、できることは何でも行わなければならない。それに、国の財政状況を考えると、介護報酬を際限なく上げるわけにもいかない。そうなれば、技能実習生や留学生を活用することは、ある意味仕方がないといえよう。しかしこれは、本来ならば財源や制度そのものの見直しなどを含めた、大きな問題だ。消費税増税も含めて、老人を国民が支えることに正面から取り組む必要があるだろう。(編集担当:久保田雄城)