地域紛争は常態化するとマーケットに影響しなくなる

2015年2月9日 08:02


*08:04JST 地域紛争は常態化するとマーケットに影響しなくなる
ウクライナ情勢は昨年の停戦合意もむなしく、何度も無視され、情勢は悪化の一途をたどっている。最近も激しい戦闘が繰り広げられ、すでに数千人規模の犠牲者が出ている。
 しかし、最近の世界の金融市場・株式市場は、昨年の前半にはウクライナ情勢の動向に神経質に反応していたのと様相が大きく異なり、これらのヘッドラインにはほとんど反応しなくなった。他の世界の地域紛争と同様、経済規模が小さい地域での紛争は世界経済には影響しないことが理解され、マーケットに影響しなくなる。言い方を変えると、紛争が常態化するとマーケットが織り込んでしまうとい言うことができる。これは、欧州とロシアの本格的な経済制裁合戦や、NATO軍とロシア軍の直接交戦など、新たな事態の展開がない限り、紛争への懸念がもう一段高まってマーケットに影響が及ぶということはないということを意味する(そして、欧州もロシアも経済的な事情もあり本心ではこれ以上の事態の悪化は望んでいない)。
 これは、ギリシャもケースも同じである。ギリシャとドイツは鋭く対立しているが、ギリシャは欧州全体のGDPの3%未満の「一地域」にすぎない。そして、双方がギリシャのデフォルト(債務不履行)やユーロ離脱を回避したいことが透けてみえる。現在は、双方の脅し・牽制や迎合・甘言などによって、マーケットは懸念と楽観の間を行ったり来たりしているが、双方の応酬は少しでも良い条件を引き出すための技の掛け合いであり、落とし所はそうドラスティックなところにはならないだろう。
 ギリシャの「地域紛争」がマーケットを大きく動かす事態になるには、トロイカのギリシャ支援打ち切り、ギリシャのユーロ脱退、ギリシャの強引なデフォルト等の新たな事態が生じ、それがスペインやイタリアなどに波及した場合ということになる。《YU》

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