増え続ける世界の糖尿病人口 2035年には5億9,190万に
2015年2月7日 21:06
近年、「生活習慣病」という言葉を耳にする機会が多くなった。生活習慣病とは文字通り、食事や運動、休養、喫煙、飲酒等の生活習慣の乱れが発症の原因と考えられる疾患の総称で、糖尿病や高血圧、脂質異常症、肥満などが代表的だが、その中でもとくに世界的に問題となっているのが糖尿病だ。
糖尿病患者は今、世界中で爆発的に増え続けている。国際糖尿病連合(IDF)がまとめた「糖尿病アトラス 第6版 2014 UPDATE」によると、世界の糖尿病人口は2014年現在で3億8,670万人。有効な対策を施さないでこのまま推移すると、2035年には5億9,190万人にまで増加すると予測されている。
同調査によると、世界で最も糖尿病患者の多いのは中国の9,629万人で、次いでインドが6,685万人、3番はアメリカの2,578万人となっている。日本は721万人で10番目にランクインしている。しかも、2013年に総務省が発表した推計値によると、糖尿病が強く疑われる日本人は過去最多の950万人。糖尿病予備群は前回調査よりも減少しているものの1100万人となっており、このままではワースト上位にランキングしかねない勢いだ。
糖尿病の増加には様々な原因が考えられるが、理由の一つとして、初期にはほとんど自覚症状がないということも挙げられるのではないだろうか。たとえ糖尿病と診断されても、初期段階であるならば、食事療法や運動療法、薬物療法などで適切に血糖値をコントロールすることで健康な人と大差ない生活を送ることができる。しかし、自覚症状がないものだから放置してしまう人が多い。深刻化すると、網膜症を患って視力の低下や失明を起こしたり、腎症を患って人工透析治療を余儀なくされたり、その他にも神経障害やえそ壊疽による足の切断など、恐ろしい合併症に襲われるが、後悔先に立たずだ。
糖尿病は、一度発症すると現在の医療では完治させる治療法がない。だからこそ、発症前の予防、少なくとも発症初期段階での対応が、その後の生活の質、大げさに言えば人生そのものを左右する。
糖尿病を防ぐには、食事や運動、睡眠など生活習慣を整えることが大事だが、とくに毎日口に入れる食品には気を配りたいところだ。過食や脂肪の過剰摂取を控え、質、量ともにバランスのとれた食事をとることは、何よりも糖尿病予防になるだろう。
また、近年のサプリメントブームも相まって、ハチミツ由来のプロポリスなどを服用することで、普段から糖尿病予防を心がける人も増えているようだ。プロポリスは、ミツバチが木の芽樹脂や新芽などからつくりだすもので、花粉やミツバチの分泌物である唾液なども含まれている。古代より珍重されてきたもので、プロポリスは桂皮酸誘導体、フラボノイドをはじめ、各種ビタミン類、ミネラルなどの有用成分を含んでおり、高い健康効果が知られているが、その一つに血糖上昇抑制作用がある。
この作用は、プロポリスやローヤルゼリー等のミツバチ産品を製造・販売する株式会社山田養蜂場が2004年に世界で初めて、九州大学大学院農学研究院への助成研究によって確認した。この時、有効成分であるトリカフェオイルキナ酸が発見され、これが強い抗高血糖作用をもつことも、世界で初めて明らかにされている。
糖尿病は今や、国民病だ。患者が多いということは、数ある病気の中でもそれだけ罹りやすいということでもあるから、まだ発症していない人でも、決して他人ごとと安心してはいられない。普段からの予防、そして万が一罹患した際にも重症化しないように心掛けたいものだ。(編集担当:藤原伊織)