トヨタ、新型上級ミニバン「アルファード」「ヴェルファイア」でガラパゴス化から脱するか?
2015年2月1日 18:35
トヨタは国内の高級ミニバン市場で圧倒的な人気を誇る「アルファード」「ヴェルファイア」を6年8カ月ぶりにフルモデルチェンジし、1月26日に発売を開始した。外観がやや異なるものの2車の基本的な性能は同じ。いわゆる兄弟車で、アルファードはトヨペット店、ヴェルファイアはネッツ店を通じて販売される。
国内の自動車市場は、比較的堅調な軽自動車を除けば落ち込みが続いており、トヨタも2015年暦年の国内販売計画では、前年比7%減と見込んでいる。
2014年1月にモデルチェンジするまで日産セレナに遅れをとっていた5ナンバーミニバン「ノア/ヴォクシー」と違い、ひと回り大きい3ナンバーサイズのアルファード/ヴェルファイアは、モデル末期だった昨年でも年間6万2000台を販売。日産エルグランドが1990年代に初代で創出した“強面の強さ”を強調した高級ミニバンカテゴリーで圧倒的な強さを見せている。ちなみに、エルグランドの昨年の販売台数は、1万1000台だ。
トヨタの発表によれば、新型アルファード&ヴェルファイアの月販目標7000台(アルファード3000台/ヴェルファイア4000台)に対し、2万1000台(アルファード1万台/ヴェルファイア1万1000台)の事前受注を得ており、手応えを得ているという。
ボディサイズは全長×全幅×全高4930×1850×1895~1950mm。ホイールベースは国産車最大クラスの3000mmだ。搭載するパワーユニットは先代から大きく変わっていない。2.5リッター4気筒ガソリン(182ps/24.0kg.m)、3.5リッターV6ガソリン(280ps/35.1kg.m)、そして2.5リッターエンジン+モーターの電気式四輪駆動のハイブリッドモデルとなる。
新型車では新開発したリアダブルウイッシュボーン式サスペンションの採用や、高張力鋼板の使用拡大でボディ剛性を高めるなど操縦安定性を強化。自動ブレーキや縦列の出入庫にも対応した駐車支援機能など、最先端の運転支援技術も搭載した。
さらに、今回の新型車で狙うのは法人需要のだ。豪華な内装、広い室内空間、スライドドアの乗降のしやすさなどは役員車などにも適している。旧モデルで2割だった法人需要は、「さらに増えるだろう」と期待を寄せる。
新型では航空機のビジネスクラスのようなシートを搭載した最上級グレード「エグゼクティブラウンジ」を設定しており、事前受注では約1割にあたる2000台がこのモデルだ。
2014年は登録車販売の上位10車種にミニバンが3車種(5位ヴォクシー、9位セレナ、10位ノア)入った。かように、日本ではミニバン人気が確立している。日本独特のある意味“ガラパゴス”商品といえる。実際、アルファード、ヴェルファイアの旧モデルは東南アジアや中国、中東などへ輸出してきたが、日本のマーケットのような人気モデルには育っていない。
今回の新型車は、「これまでよりグローバルな目線で開発した」と説明する。道路事情が日本ほど良くない海外でも使いやすいといったことも考慮し、サスペンションやタイヤサイズを設定しているという。「かなり評価が高いアジア向けは強化していきたい」としている。
独壇場の国内販売に加えて、海外でどれだけ存在感を高められるか。法人需要の開拓と合わせて、脱ガラパゴス化が同社高級ミニバンの課題か。
新型の価格は、ベーシックな2.5リッター8人乗りの319万7782円からハイブリッド「エグゼクティブラウンジ」の703万6691円までと、プライスレンジの広さも新型の特徴だ。(編集担当:吉田恒)