【村山貢司の気象&経済歳時記】アメリカ経済のリスク・異常気象
2015年2月1日 13:44
アメリカ東部では1月末から猛烈な寒波に見舞われており、多くの航空路線が停止、道路も50cmを越える雪でマヒ状態になっている。各地で停電や物流の障害が起きている。
アメリカでは2014年の11月にも記録的な寒波によって東部地域で1m前後の大雪になり、ハワイでも気温が氷点下になるなど大きな影響がでた。2014年の冬も北米では記録的な寒さと大雪が長期間続き、この影響で2014年のアメリカの経済成長が0.7%のマイナスになったほどである。
日本では過去に昭和38年の、「三八豪雪」、昭和56年の「五六豪雪」など大きな被害があったが、昔は日本が寒いときは、北米東部とヨーロッパの3地域がほぼ同時に寒くなるのが普通であった。
ところがここ数年は北米には猛烈な寒波がたびたび襲来しているのに対して、ヨーロッパは暖冬になることが多い。
この冬も東欧ではやや寒くなっているが、同じヨーロッパでも英仏など西の地域では気温が高く、昨年も同じ状況であった。日本ではこの冬がかなり寒いと報道されているが、1月の気温は全国的に平年よりやや高いのである。温暖化によって北極の寒気はやや弱まってはいるが、これまでは日米欧の3地域に南下していた寒気が北米を集中的に襲っている印象が強い。
アメリカでは温暖化どころか寒冷化や氷河期に向かっているとする議論が盛んになっているが、いずれにしても極端な異常気象が当分と続くことは間違いないであろう。
トラックと鉄道輸送で物資を輸送し、労働者の多くが車で通勤するアメリカでは日本に比べても異常気象の影響度が大きいのである。(気象予報士・経済評論家)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)