H-IIAロケット27号機、2月1日10時21分に打ち上げ再設定

2015年1月30日 11:21

 三菱重工と宇宙航空研究開発機構(JAXA)は1月29日、天候不良で延期されていた、H-IIAロケット27号機による情報収集衛星レーダー予備機について、2月1日に打ち上げ日を再設定したと発表した。

 打ち上げ時間帯は前回と同じく、10時21分から10時34分となる。

 当初打ち上げは1月29日10時21分に予定されていたが、打ち上げ時間帯において氷結層を含む雲が、ロケットの飛行経路上に発生する可能性があったことから、1月29日未明のうちに打ち上げを中止することが決定された。氷結層とは、雲の中で温度が0度から-20度になっている部分を指しており、雲の中に氷の粒の層があるような状態にある。その氷の粒が、対流によりぶつかり合うことで電気が発生し、対流が激しい場合は落雷へとつながることが知られている。もしそこをロケットが通過し、雷がロケットに落ちると、機体が破壊されたり、電子機器などに影響が出る可能性がある。

 H-IIAロケット27号機は、情報収集衛星レーダー予備機を搭載し、1月29日の10時21分に打ち上げることを目指して準備が進められていた。打ち上げ中止が決まった段階で、すでにロケットは組立棟から射点へと移動していたが、中止に伴い一旦組立棟へと戻されている。

 今回打ち上げられる衛星は、内閣衛星情報センターが運用する情報収集衛星のレーダー衛星の予備機である。情報収集衛星は1998年の朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)によるテポドンの発射実験を契機に導入が決定されたもので、他国の偵察の他、災害時などの情報収集などを目的に運用が行われている。

 情報収集衛星には電子光学センサー(高性能なデジタルカメラ)で地表を撮影する光学衛星と、合成開口レーダーを使って地表を撮影するレーダー衛星の2種類が存在する。今回打ち上げられるレーダー予備機は、現在運用されているレーダー衛星が故障した際に備えたバックアップ機となる。

 情報収集衛星はこれまでに12機が打ち上げられ、そのうち2機は打ち上げ失敗により失われ、また初期に打ち上げられたものは故障や老朽化などで運用を終えており、現在軌道上には光学3号機と光学4号機、レーダー3号機とレーダー4号機、そして光学5号機実証衛星の5機が配備されている。基本的には光学衛星が2機、レーダー衛星が2機あれば、1日に1回、地球上のある地点を観測できるが、衛星が故障した場合に備え、予備機が打ち上げられることになった。特に、レーダー衛星は大電力を使うことから故障する確率が比較的高く、実際にレーダー1号機と2号機は電源系の故障で、予定より早く運用を終えることになった。

 また今年度中(2015年3月まで)には、光学5号機の打ち上げも予定されている。

 H-IIAロケットの打ち上げは、2014年12月3日の小惑星探査機「はやぶさ2」の打ち上げ以来、2か月弱ぶりとなる。また2014年10月7日には「ひまわり8号」も打ち上げており、2か月という比較的短い間隔で3機のロケットを打ち上げることになる。

■JAXA | H-IIAロケット27号機による情報収集衛星レーダ予備機の打上げ日について
http://www.jaxa.jp/press/2015/01/20150129_h2af27_2_j.html

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