14年にリストラを公表した上場企業は31社 リストラの動きは落ち着きを見せる
2015年1月21日 13:45
2014年に希望・早期退職者の募集実施を公表した上場企業数は、前年比4割減の31社だった。アベノミクスに伴う急速な円安進行から上場企業の業績が輸出企業を中心に改善し、人員削減に動いた企業は調査を開始した2000年以降で最少となった。
株式会社東京商工リサーチは、2014年1月以降、希望・早期退職者募集の実施を情報開示、具体的な内容を確認できた上場企業を抽出した。希望・早期退職者の募集予定を発表したものの実施に至らない企業、および上場企業の子会社(未上場)は対象から除いた。資料は、原則として『会社情報に関する適時開示資料』(2015年1月9日公表分まで)に基づく調査であった。
その結果によると、2014年に希望・早期退職者募集の実施を公表した主な上場企業は31社(前年54社)だった。2年連続で前年を下回り、調査開始の2000年以降では最少社数を記録した。また、募集人数は7,098人(前年1万782人)で、3年ぶりに1万人を下回った。
募集または応募人数の最多は、ルネサスエレクトロニクス(グループ会社を含む)の応募2,782人。次いで、日立化成(グループ会社を含む)の応募1,248人、東京電力の応募1,151人、JVCケンウッド(グループ会社を含む)の募集400人、エーザイの応募396人、ベネッセホールディングス(グループ会社を含む)の募集300人と続く。募集または応募人数が100人以上は9社(前年26社)で、前年の3分1と大幅に減少した。
業種別で最も多かったのは、ルネサスエレクトロニクス、ソニーなど電気機器の7社だった。このなかにはスマートフォン向けリチウムイオン電池の受注減を受け、早期退職者募集に踏み切った日立マクセルも含まれる。韓国の大手電機メーカー、サムスンの業績不振が影響したとみられ、サムスンと取引がある他の企業への波及が懸念されるとしている。次いで、化学・情報通信・その他製造が各3社と続く。このほか、経営再建中の東京電力とベネッセホールディングスも創業以来、初めて希望退職者を募集している。
2014年に希望・早期退職者を募集した上場企業数は調査開始以来、最少となり人員削減の動きは落ち着いた感もあるという。だが、2015年の年初から大手広告代理店の電通が業績は好調でも従業員の転身を後押しする形で早期退職者募集に踏み切った。このように、今後も将来のビジネス展開を見据え、業績の好不調に関わらず人員削減に踏み切る企業が出てくる可能性もあり、2015年の動向が注目されるとしている。(編集担当:慶尾六郎)