植物ホルモン「ジベレリン」は、共生菌の感染を正にも負にも調整していることが明らかに
2015年1月21日 11:02
基礎生物学研究所の武田直也助教・川口正代司教授らによる研究グループは、植物はジベレリンと呼ばれる植物ホルモンによって、共生菌「アーバスキュラー菌根菌」の感染を調節していることを明らかにした。
陸上植物の多くはアーバスキュラー菌根菌と共生関係にあり、アーバスキュラー菌根菌は宿主植物の根の内部へ侵入して菌糸を張り巡らせていく一方で、宿主は土壌中に長く伸びた菌糸によりリン酸などの栄養分を集めやすくなる。
今回の研究では、アーバスキュラー菌根菌と共生関係にあるミヤコグサ根を使って実験を行った。まず、ミヤコグサ根に植物ホルモンのジベレリンを添加したところ、感染率を大きく低下させることが分かった。また、逆にジベレリンの働きを阻害したところ、根内部での菌糸の分岐が抑制され、樹枝状体形成率などが低下することが分かった。つまり、感染過程においてジベレリン濃度を適正に制御することが正常な菌根菌感染に重要であると言える。
研究メンバーは、「ジベレリンやジベレリン合成阻害剤などのジベレリン濃度調整剤は、すでに農業的にも広く利用されている薬剤であり、(菌根菌感染を変化させることは)実用化可能な技術と考えています」とコメントしている。
なお、この内容は「Plant Physiology」2月号に掲載される。