どうなる日本の農業 JA全中、外部監査案を拒絶で農協改革への反発露わ
2015年1月20日 09:02
政府が推し進めようとする農協改革だが、全国農業協同組合中央会(JA全中)は、真っ向から対立する姿勢をみせている。西川公也農相は1月9日、閣議後の記者会見で、各地方の農協の会計監査体制が不十分だとし、外部機関に監査を依頼する制度に変えていくべきだとの考えを述べた。現在の農協では農協法に基づき、JA全中の内部組織が監査役となっている。西川農相は、今は企業でも外部監査は当たり前としたうえで、公認会計士監査に移行すべきだと主張した。しかし、これに対しJA全中の萬歳会長は「理解できない」と反論。現行監査制度に問題点はないと述べた。
政府は農協改革で、JA全中の権限を縮小させることを目指している。農協の組合員である農家の競争を自由化することで、農業を活性化させたい考えだ。これまでには、JA全中をトップとする中央会の干渉が行きすぎ、結果として農家の不利益となることも起きている。農産物の規格や価格の統一により、高品質な作物が適正に評価されなかったり、農機具のリースや購入にJA組織が介入し、農家による独自の経営が阻害されてきたという一面も。
政府は、JA全中による管理体制はこれからの農業のあり方にそぐわないとして、農協改革の必要性を訴えている。17日には自民党の稲田朋美政調会長が自身の選挙区である福井県に赴き、農協関係者や農業従事者らと意見を交わした。稲田氏は「農協改革は農協をつぶすことが目的ではない」と述べ、政策についての理解を求めた。
TPP(環太平洋パートナーシップ協定)の参加により、国内の農業への影響は避けられない事態となっている。政府は農業を「保護」の対象として見るのではなく、競争力を高めて海外へ輸出するという方向へ転換を図ろうとしており、農業の効率化や農家の戦略的経営力を高めていくために農協改革は欠かせない事項だと見ている。国際競争の波の中で日本の農業も、今後大きく様変わりすることは間違いない。農業を守り、発展させていくためには思い切った改革が必要だろう。(編集担当:久保田雄城)