理研、アルツハイマーを進行させる糖鎖を発見
2015年1月18日 21:30
理化学研究所の木塚康彦基礎科学特別研究員らによる研究グループは、バイセクト糖鎖と呼ばれる糖鎖がアルツハイマー病を進行させることを発見した。
アルツハイマー病は認知症患者の半数以上を占める疾患で、その原因は、アミロイドβと呼ばれるペプチドが脳に蓄積することにあると考えられている。また、近年、アルツハイマー病患者の脳でバイセクト糖鎖の量が増えているという研究結果が報告されている。
今回の研究では、バイセクト糖鎖を作る酵素「GnT-III」を欠損させたマウスを用いて実験を行ったところ、脳内のアミロイドβの蓄積が激減し、記憶能力の低下も抑えられることが分かった。さらに、バイセクト糖鎖を欠損させるとアミロイドβを作る酵素「BACE1」がアミロイドβの前駆体タンパク質(APP)と細胞内で異なる分布を示すようになり、その結果アミロイドβの産生を抑制できることを突き止めた。
今後は、本研究成果が糖鎖をターゲットにした新しいアルツハイマー病の治療薬開発に繋がると期待されている。
なお、この内容は1月15日に「EMBO Molecular Medicine」オンライン版に掲載された。