【ドクター箱崎幸也の健康増進実践法】喫煙と認知機能低下・子供への影響と関連

2015年1月15日 12:00

 先月「喫煙が認知機能を低下させたり副流煙が子供の喘息や肺炎などを引き起こす」についてお話しました。

 日本の成人喫煙率は19.5%(30歳代男性43,2%、30歳代女性11.9%;平成24年国民健康・栄養調査より)で、喫煙者の4割が禁煙したいとの報告もあります。世界保健機関(WHO)は「たばこ税を上げる」を勧告し、禁煙希望者の後押しをしています。

 欧州では1箱の値段が1,000円の国もあり、たばこ税が高ければ高いほど喫煙者数が減り、また若年者の吸い始めを予防できています。今後日本も欧州と同様に、レストランやバーも含めて全屋内での禁煙の方向に向かうのかもしれません。

 私が禁煙を進める理由は、80歳以下で要介護に至る原因で最も多いのが脳卒中です。脳卒中の方は、一部の方では認知症へ進行します。この脳卒中の原因は種々ありますが、多くの研究からも喫煙が大きな要因の一つです。

 さらに興味深いのは、感染症対策で世界トップ機関の米疾病対策センター(CDC)が、2014年に実施した健康対策のトップ10に禁煙がリストアップされたことです。

 筆頭はエボラウイルス病対策で、薬剤耐性菌やHIV・エイズなどがありますが、死亡の主要因への取り組みには心血管疾患・喫煙・鎮痛薬の過剰摂取がありました。個人的には喫煙よりもアルコール問題が重要かと思っていましたが、やはり欧米では喫煙への風当たりが強いようです。周囲の皆様方が禁煙に悩んでいる喫煙者の方々の心を動かして、ぜひ禁煙成功を導いてあげて下さい。

 禁煙に成功すると、口寂しさで間食が増えたり、口腔内のニコチン臭が消えて味覚も鋭敏になり食物が美味しくなります。個人差が大きいのですが、禁煙1年で一般的に体重が4~5kg増えますので、禁煙後の体重増加にはくれぐれもご注意下さい。(元気会横浜病院々長、元自衛隊中央病院消化器内科部長)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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