地方創生に課題 年齢が高くなるほどUターン後の年収減額

2015年1月15日 10:15

 政府は昨年12月末に地方創生への取り組みとして「まち・ひと・しごと創生総合戦略」を発表。今後5年間かけて、東京など都市部に集中する人口の流れを変え、東京5輪が開催される2020年までに地方への転出者を4万人増やす計画を掲げた。税制改革を進めて地方に移転する企業を優遇し、雇用を創出。6次産業の活性化を図り、地元産業の振興も支援していくとした。政府が力を入れる地方創生だが、現実的に成功する見込みはあるのだろうか。

 そこで、人材派遣会社などを運営するマイナビの「マイナビ転職 Uターン転職に関する実態調査」を参考にしてみたい。同調査の結果によると、Uターン転職した人のうち半数が「満足している」と答えたものの、「転職前より年収が減った」という人も半分以上にのぼった。調査は14年11月12日~14日にインターネットで行われ、Uターン転職経験のある正社員20~39歳の男女500人が対象となった。

 Uターン転職の満足度について、「非常に満足」と答えたのは20代が最も多く、20.7%だった。30代前半では16.0%、30代後半では8.6%となっている。「やや満足」には20代が39.3%、30代前半が34.9%、30代後半が34.3%と、どの年代も高い回答率だった。「非常に満足」「やや満足」を合わせると、全体では50.8%の人がUターン転職に満足していることが分かる。さらに「普通」の35.0%を合わせると、85.8%の人が肯定的意見を持っていることが明らかとなった。

 その理由には「家族が喜んだ」が最も多く41.2%で、次に「趣味・余暇などの場・時間が充実した」の32.8%が続いた。家族と過ごすなど、時間と心の余裕を得たことで、生活の質が向上したと感じる人が多いようだ。

 一方で、Uターン転職した直後の年収についての質問には、「減少した」という回答が全体で51.6%を占めた。年収が減った割合については年齢が高くなるほど大きくなる傾向にあり、「31%以上減少した」という人は30代後半で16.6%にものぼる。以前の会社でキャリアを積んだ30代後半の人ほど、Uターン後の年収が減額になる可能性が高い。地方へ人口を移していくためには、能力やキャリアに合わせて、年収を維持する政策も必要なのでは。(編集担当:久保田雄城)

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