東大、マンガを使ったeラーニングがうつ病予防に効果的なことを明らかに
2015年1月14日 21:23
東京大学の川上憲人教授・今村幸太郎特任研究員は、マンガを使ったeラーニングによってうつ病の発症率が1/5に減少することを明らかにした。
働く人のうつ病が増加しているが、これまでのストレスマネジメントは、抑うつや不安を減らす効果があることは分かっていたものの、うつ病を予防できるかどうかについては不明であった。
今回の研究では、「過去1ヶ月以内の大うつ病性障害に該当しない」などの基準を満たすIT系企業の社員762人を、マンガを用いたeラーニングプログラム(全6回)を受講するグループと受講しないグループに分けて、その後1年間の大うつ病性障害の発症数を調べた。その結果、プログラムを受講したグループは、受講しないグループに比べて約1/5になることが分かった。
今後は、現在のeラーニングを改良し、さらに大規模な試験で効果を確認するとともに、認知行動療法を用いたeラーニングが働く人のポジティブなメンタルヘルスや生産性に与える効果についても研究を進めていく予定という。うつ病予防のためのeラーニングが広く企業に導入されれば、働く人の心の健康が向上することが期待される。
なお、プログラムの内容は認知行動療法に基づくストレス対処の方法をマンガで提供するものとなっている。全6回で、毎週1回の講義と宿題で構成され、学習は宿題も含めて1回30分程度。未学習者には週1回学習を促すメールを送信した。宿題提出は任意とし、提出した者には専門スタッフ(臨床心理士)からコメントを返した。
今回の研究内容は「Psychological Medicine」に掲載される。