東北大、光からスピン流を生み出す新しい原理を発見
2015年1月13日 21:42
東北大学の内田健一准教授らによる研究グループは、特定の金属微粒子を含む磁石に可視光を照射することで、スピン(磁気)の流れを生成できる新しい原理を実証することに成功した。
持続可能な社会に向けて、光・熱・振動などを利用する新しいエネルギー変換原理の創出が期待されている。一方で、エレクトロニクスの分野では、電子の流れだけでなくスピンの性質も利用する「スピントロニクス」が次世代電子技術の有力候補として注目を集めている。
今回の研究では、磁性ガーネット(BiY2Fe5O12)薄膜の表面に白金(Pt)薄膜を接合した素子に、特定の波長の可視光を照射することで、強力な電磁場を発生させ、その電磁場によりスピンの運動を効果的に駆動させることに成功した。また、様々な対照実験やシミュレーションを行い、観測された信号は光が表面プラズモンを介してスピン流を励起する新しいプロセスによって生じていることを確認した。
光とスピンの相互作用については、これまで半導体を用いて研究されてきたが、今回実証された効果は全く異なる物理原理に基づくもので、初めて絶縁体磁石における光-スピン流変換が可能になった。
実際のデバイスで利用するためには大幅な効率向上が必要であるが、将来的には次世代の分散型発電・省エネルギー技術やスピンデバイスの駆動源に繋がると期待されている。
なお、この内容は1月8日に「Nature Communications」にオンライン公開された。