拡がるインターネット販売、次世代通信デバイスもネットで買える時代に

2015年1月10日 21:24

 インターネットの急激な普及とネット通販需要の拡大に伴って、eコマース(EC、電子商取引)市場が目覚ましい成長をみせている。2014年8月に経済産業省が発表した「電子商取引に関する市場調査」をみると、2013年の日本のBtoC(企業対個人)のEC市場は前年比17.4%増となる11兆1660億円にまで伸びており、全商取引に占めるEC化率は3.67%にのぼることが分かった。また、市場の予測では2020年頃までに約20兆円、EC化率は7パーセント近くにまで達すると見られており、この勢いはまだまだ続きそうだ。

 BtoC-EC市場といえば、真っ先に名前が挙がるのは、Amazon、Yahoo!ショッピング、楽天市場などではないだろうか。これら大手のEC事業者の市場だけでも約4兆円規模を占めると推計される。ただし、こちらはこれからも順調に推移していくとしても、ある程度熟成した市場であるため、今後の爆発的な伸びには期待が薄い。

 その一方で注目が集まっているのが、中小のネットショップや一般企業によるBtoB-ECだ。とくに最近は、これまでBtoB(企業対企業)の取引を主体に事業を行ってきた大企業が、最先端の商品を多数EC市場に投入していることもあり期待は大きい。

 たとえば、日本の半導体企業のローム株式会社も、BtoB-ECでのインターネット販売に積極的に取り組んでいる企業の一つだ。同社ではかねてより、スマートコミュニティ構築に最適な国際無線通信規格「Wi-SUN」(Wireless Smart Utility Network)の開発と普及推進に力を入れているが、新年早々のニュースとして、汎用Wi-SUNモジュール「BP35A1」の量産およびインターネット販売を開始することを発表している。汎用Wi-SUNモジュールのインターネット販売は業界初(2015年1月7日現在・ローム調べ)で、製品の販売だけでなく「BP35A1」でWi-SUN 通信を実現するために必要な情報はすべてホームページ上に完備し、誰でも手軽にWi-SUNを使用することができる環境を提供している。

 「BP35A1」の製品自体は、2014年4月よりサンプル出荷されている。電波法認証取得済みでHEMSに最適なファームウェアを搭載しており、どんな機器にも容易にWi-SUN通信を実現できる点などが、すでに使用した顧客から評価を得ている。同社では、月産3万個規模の量産ラインの確立とインターネット販売に必要なドキュメント、ファームウェアなどの準備が整ったことで、今回のネット販売に踏み切った。

 Wi-SUNは無線LAN(Wi-Fi)よりも低消費電力で通信距離が長いという利点があり、スマートフォンなどへの導入も検討されている今最も注目される次世代無線通信技術だ。すでにスマートメーターや交通インフラなどのスマートコミュニティでの活用が始まっているが、今回のネット販売によって、「M2M(Machine to Machine)」やモノのインターネット「IoT(Internet of Things)」への普及促進が期待されている。近い将来、家電製品をはじめメディカル・ヘルスケア、インフラ、産業機器など様々な分野で、Wi-Fiやbluetooth に加えてWi-SUNを目や耳にする機会が増えるのではないだろうか。

 ともあれ、最新、世界最先端の次世代デバイスまでネットで気軽に買えるなんて、すごい世の中になったものだ。(編集担当:藤原伊織)

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