NYの視点:2015年の利上げ観測が後退、FOMCハト派が台頭

2015年1月7日 07:02


*07:04JST NYの視点:2015年の利上げ観測が後退、FOMCハト派が台頭

世界の経済成長は低調でインフレも抑制されている。日本や欧州など、ほとんどの先進諸国の金利もゼロ近辺で推移している。そんな中、米連邦準備制度理事会(FRB)による本年の利上げが困難になるとの見方が強まりつつある。ジャナス・キャピタル・グループのビル・グロス氏はドル高や原油安の影響で、2015年後半まで連邦公開市場委員会(FOMC)が利上げを開始するのは困難だとの見方を示した。世界経済が停滞するなか、世界の中央銀行の外貨準備通貨であるドルの主要中央銀行が利上げを実施することは非常に困難だと指摘。米国の政策金利は1-2%にとどまり、米国の10年債利回りも現行水準からほど遠くない水準にとどまる可能性があると見ている。

米連邦公開市場委員会(FOMC)で2015年の投票権を有しているウィリアムズ米サンフランシスコ連銀総裁は年初の講演で、「米国経済におけるslack(たるみ)は消滅しつつある」としながらも、「引き締めを急ぐ理由はない」「2015年後半の利上げも除外しない」とハト派に傾斜した内容となった。昨年末の講演では、2015年中旬の利上げ開始を予想している市場関係者の見通しが「理にかなっている」としていた。米国には引き続き金融緩和が必要だと念を押した。

米連邦公開市場委員会(FOMC)の2015年度メンバーは、イエレンFRB議長、フィッシャー米FRB副議長、ブレイナード理事、パウエルFRB理事、タルーロFRB理事、ダドリーNY連銀総裁に、エバンス・シカゴ連銀総裁、ラッカー米リッチモンド地区連銀総裁、ロックハート・アトランタ連銀総裁が加わる。新たに加わるメンバーが全員、ハト派であることもFOMCの金融緩和を慎重にさせると考えられる。早期の利上げを材料にしたドル買いのペースも鈍化する可能性がある。《KO》

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